しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

思い出と戦わない

岡本全勝・福島復興再生総局事務局長のHPに、

今月18日の朝日新聞デジタル版「耕論」に掲載された

『第二の人生の歩き方』というタイトルの記事が紹介されていたので、

私もさっそく読んでみました。

岡本局長は、いつも良質の記事を紹介してくださるので、大変参考になります。

 

記事の内容は、「長く取り組んだ仕事を辞めた後の人生。

喪失感にさいなまれたり、過去の栄光にすがりついたりしかねない。

第二の人生での心構え、それを見すえて準備することは何だろう。」

という「問い掛け」について、脚本家の内舘牧子さん、

サッカー元イングランド代表のデービッド・ベッカムさん、

そして、リサイクル着物販売業の和田一郞さん、

この三人の方にインタビューをしたものでしたが、

皆さんそれぞれ、次のような味わい深いお言葉を述べられていました。

 

まずは、内舘牧子さんは、

『「終わった」と認め、思い出とも戦わないと決めることが、

 すべてのスタートだと思います。まだ終わっていない若い人たちも、

 しょせん、残る桜も散る桜ですよ。そう思うと、腹も据わりますよね。』

 

次に、デービッド・ベッカムさんは、

『私も間違いを犯してきました。

 そのたびに間違いから戻ってこられる幸運に恵まれました。

 判断を誤ることもあるでしょうが、何も決断しなければ得るものもありません。

 幸運は、失望の中にこそあると私は思います。』

 

最後に、和田一郞さんは、

『今の仕事に忙殺されて、なかなか「次」に踏み込めない人は多いと思います。

 手に職がない、という人もいるでしょう。

 でも案外、競争しながら会社員をやっていれば、

 セカンドキャリアで役に立つことは身についている。 

 若い人たちは、まずは最初の仕事で百%の努力をしてみたらいいと思います。

 全身全霊を傾けて初めて見えてくるものがあるはずですから。』

 

内舘さんの「しょせん、残る桜も散る桜」は、

「散る桜 残る桜も 散る桜」という良寛和尚の辞世の句を

改めて思い出しましたし、

和田さんの「全身全霊を傾けて初めて見えてくるものがあるはず」は、

稲盛和夫さんの「持てる力をすべて出したとき神が現れる」

という言葉を連想しました。

 

また、記事のなかの

「思い出と戦わず、次に進め」という内舘さんの言葉に触れて、

内舘さんの小説『終わった人』(講談社)が無性に読みたくなりました。

今度、町立図書館に行った時に探してみることにします。

もしなかったらどうしようかな……?

枕元にはたくさんの積読本があるので、

文庫版が出版されるまで根気よく待つことにします。

 

終わった人

終わった人