しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

前途多難な経済政策

今日20日の愛媛新聞「道標」に、本県宇和島市出身の

河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミストが、

『トランプ大統領誕生の影響』というタイトルの論評を寄稿されていました。

 

まず、トランプ氏が掲げる移民規制と保護貿易の帰結について、

次のような解説がありました。

・移民を規制しても、低所得の白人男性層の所得が増えるわけではない。

 むしろ経済のパイが縮小し、所得が減る可能性すらある。

・先進国の中で、米国経済が比較的堅調だったのは、

 移民流入で労働力の減少が避けられていたためだ。

 移民が規制されると、労働力不足で米国の潜在成長率はさらに低下する。

保護貿易としてメキシコや中国からの輸入品に高率の関税をかけるというが、

 それは両国に悪影響を及ぼすだけではない。

 米国が豊かなのは、各国から安価な商品を低関税で輸入しているからだ。

・国内で生産が増えても割高なものが増え、物価上昇で家計の実質所得は損なわれる。

 トランプ氏が助けると約束したはずの米国の労働者をさらに苦しめることになる。

 

う~む、なるほど……。

河野さんのおっしゃるとおり、経済メカニズムは複雑なのですね…。

そして、この論評のなかで、足元で大幅に上昇する米国の株価に関連して、

「トランポノミクス」という言葉が出てきました。

さっそくネットで調べてみると、次のような解説を見つけました。

 

『トランプ氏の経済政策のことで、「トランプ(trump)」と「エコノミクス

 (economics)」を組み合わせた造語。トランプ政権は大型の減税や規制緩和

 大型の財政出動などが期待されおり、1980年代前半に米国のレーガン大統領が

 行った経済政策「レーガノミクス」に近いことから 「トランポノミクス」と

 呼ばれるようになった。』

 

この「トランポノミクス」についても、

河野さんは次のような厳しい指摘をされています。

・しょせん、追加財政の効果は将来の所得の前借でしかない。

 結局、財政赤字が大きく膨らむだけで、効果は長続きしない。

 米国は既に完全雇用にあるから、追加財政で景気をかさ上げすると金利が上昇し、

 将来、それがきっかけで景気拡大が終焉に向かう可能性もある。

金利上昇がもたらすドル高は、米国の競争力をそぎ製造業をむしろ苦境に追いやる。

 

日本の「アベノミクス」といい、米国の「トランポノミクス」といい、

どうやらその前途は多難なようです。

でも、単純な疑問なんだけど、経済政策には「正解」というものはないのかしら?