しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

ハイブリッド型の分断社会

今月21日の朝日新聞デジタル版の「耕論」を読んで、

最近よく聞くポピュリズムにも、「右」と「左」があることを知りました。

具体的には、水島治郎・千葉大学教授が、次のように述べられていました。

 

『トランプ氏の政治手法はポピュリズム的です。

 欧州のポピュリズムとも共通点が多いのですが、違いもある。

 ポピュリズムにも「右」と「左」があります。

 左派ポピュリズムは、貧富の差が激しい中南米などに多く、分配を求める。

 右派ポピュリズムは、欧州のように福祉国家化が進み、

 格差が比較的小さい社会で、移民を排除する。

 米国は、欧州と中南米の中間の社会です。

 先進国ですが福祉国家化が遅れ、西欧より格差が大きい。

 だからトランプ氏の右派ポピュリズムと、

 民主党のサンダース氏の左派ポピュリズムの両方が支持を得る。

 ハイブリッド型です。』

 

う~む、なるほど……。米国はハイブリッド型ですか…。

さらに、水島教授の分析は、次のように続きます。

 

『既成政治かポピュリズムか、右か左かという2本の軸で分けると、

 「既成で左」がクリントン氏、「既成で右」がジェブ・ブッシュ氏ら共和党主流派、

 「ポピュリズムで左」がサンダース氏、

 「ポピュリズムで右」がトランプ氏を支持したといえます。

 中南米は「ポピュリズムで右」が弱く、

 欧州では「ポピュリズムで左」が弱いが、米国は四つがそろっている。

 だから、欧州に比べて分断が複雑です。

 サンダース支持者は、同じ左のクリントン氏より、

 トランプ氏に親近感があったでしょう。

 トランプ氏は自らの基盤の「ポピュリズムで右」に加え、

 共和党支持層の「既成で右」、

 さらにサンダース支持層の「ポピュリズムで左」まで取り込んだから、

 勝利することができた。』

 

そして、この論評の最後には、次のように書かれていました。

『分断が複雑な米国で、

 トランプ氏は相いれない考えを持つ人々を広く取り込むため、

 一方で共和党主流派に配慮しつつ、他方で既得権層をたたく、

 矛盾する言動を続けるでしょう。

 既得権層批判が形ばかりに終われば、左派ポピュリズムが力をもち、

 分断がさらに広がる可能性もあると思います。』

 

ところで、昨晩、普段は米国政治にはあまり関心のない妻から、

「どうしてトランプさんのような人が米国では大統領になれるの?」

と質問されました。

それに対して私は、待ってましたと言わんばかりに、

米国大統領選挙の「制度の複雑さ」や、

紙面で読んだばかりの「ポピュリズム」と「政治的分断」の話をしようとしましたが、

これがなかなかうまく説明できません。

 

う~む……。(絶句) 人に説明しようとして初めて、

「結局、私は何も分かっていない」ということがよく分かりました。

なお、先ほどの「耕論」では、

水島教授の『ポピュリズムとは何か』(中公新書)という本が紹介されていました。

この本を購読して、ポピュリズムの基本から勉強する必要が、私にはありそうです。