しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

読書文化の底を支えている人々

日経新聞電子版の「直言」に、小説家の京極夏彦さんが、

「ムダが書籍の未来をつくる」という題の論評を寄稿されていました。

この論評で京極さんは、次のようなことを述べられていました。


『世の中にはハードカバーが好きな人が一定数いる。彼らは本をいわゆる情報のみとは捉えていない。

 そうした人々が、実は読書文化の底を支えている。

 装丁だとか紙質だとか、花ぎれ(背表紙の天地に入れる布)やスピン(ひものしおり)の色だとかに、

 いいものを求めている。』


『本作りの目的は、ムダをなくすことではない。

 そもそも小説自体が読まなくても困らないもので、人生のムダだともいえる。

 本作りとはムダを排除するのではなく、むしろ取り込んでいくものではないか。』


へぇ~、そうなんですか‥。

私は今日、初めて「花ぎれ(花布)」と「スピン」という言葉を知りました。


年金生活者になってからは、古書店で本を買うことが多くなりました。

それでもたまには新品のハードカバーを書店で買うことがあります。

そしてその本を家に持ち帰り、装丁をながめ、初めてページをめくるときの充実感や幸福感は、

何とも言えないものがあります。


「ハードカバーが好きな一定数の人々が、実は読書文化の底を支えている」‥。

書棚に並んでいるハードカバーが、なんだか急に愛おしくなってきました‥‥。