今日の日経新聞「日曜日に考える」の「検証」は、
リフレ政策を巡る論争について、分かりやすく解説していました。
記事を読んで初めて知りましたが、
リフレ政策の有効性を巡っては、
経済学者の間で約15年にわたり議論が続いてきたけれども、
理論上の決着は付いていないそうです。
そして、自分なりの理解が深まったのが、次の記述です。
『実は、極端な主張をする一部の論者を除けば、
リフレ派と反リフレ派の間で、世間で考えられているほど認識上の隔たりは大きくない。
例えば、量的緩和が物価に影響を与えても限定的だと認めるリフレ派の学者は少なくない。
インフレ目標を掲げるなどして
「期待に働き掛ける(人々の予想を変える)」ことの重要性を強調するのも
量的緩和だけではあまり効果はないという認識があるからだ。』
『その意味で、リフレ論争は
「特効薬だ」と告げて偽薬を与える治療を認めるべきかどうかという問題に似ている。
効果を信じれば、ただの小麦粉でも効くケースはある。
一方で「気合を入れれば効く、と言っているにすぎない」
(池尾和人慶応大学教授)ともいえる。』
なるほど…。
偽薬効果は「プラシーボ効果」と呼ばれると聞いたことがありますが、
リフレ政策の有効性というのは、そういう類のものなのですね。
昔から「景気は気から」と言われているのが理解できるような気がします。
記事は、次の記述で最後を締めくくっています。
『何が正解かわからないまま、結局は安倍首相の政治決断で始まったリフレ政策。
経済学者は認識の共通点と対立点を整理して国民に示すべきかもしれない。』
正解が分からない前代未聞の「壮大な実験」を国民の目の前で繰り広げる以上、
記事が指摘しているように、
経済学者に限らず、政治家の先生方も、
リフレ政策の論点について、国民に分かりやすく説明する責任があるのかもしれません。