しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

行革とイノベーション

今月16日の日経新聞「経済教室・エコノミクストレンド」は、
若林直樹・京都大学教授の『官民で行革の革新を』でした。

若林教授は、この論考で、
 ・ ニューパプリックマネジメント(NPM)理論、
 ・ バリュー・フォー・マネー(費用に見合う価値)原則、
 ・ べスト・バリュー(最高品質)原則、
 ・ パプリック・プライベート・パートナーシップ(PPP=官民協働)
 ・ パブリックガバナンス(公共統治)
 ・ ネットワークガバナンス
 ・ 新たな「小さな政府」
といった行政サービスの供給や改革に関する取組を説明されたうえで、
現代の行政サービス経営の構造変化は、
大きく3つの意味を持っているだろうと、次のように指摘されています。

第1に、現代の公共経営学の焦点の一つは、
旧式の設備やサービスを前提としたコスト削減だけではなく、
民間との協働を通じたサービスの品質向上やイノベーションにある。
公共分野に参入する民間の「競争力」はこうした点で発揮されることが期待される。

第2に、パブリックガバナンスの議論が示すように、
行政機関はPPPによる幅広い民間との提携ネットワークを
うまく運営する能力を高める必要がある。
その際、ボランティアなどとの調整も対象になる。

第3に、公共経営が拡大するほど「公共性」が問い直される。
参入する民間の企業・団体は、
新たな公共価値を創造することで市民からの信頼を向上させられるだろう。

そして論考の最後を、次のように締めくくられています
『日本の行政改革事業整理が中心だった。
 それも重要ではあったが、
 今後は成長している民間企業やボランティアを含む「行政サービス産業」全体で、
 社会的投資を呼び込み、イノベーションを進める発想が必要だろう。』

地方行政に携わる私にとって、大変勉強になる論考でした。
私は、これまでの民営化を中心とした行政改革のスキームは、
どちらかといえば、コスト削減に重きを置きすぎてきたと思っています。

「行革は民間との協働を通じたサービスの品質向上やイノベーションにある。」
地方自治体の職員だけでなく、そのトップの方々にも読んでもらいたい論考です。