しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

グローバル化と資本主義の未来

昨日12日に、朝日新聞デジタル版に掲載された

『(平成経済)第1部・グローバル化と危機:3 企業の利益、給与に回らず』

という記事を読んで、いろいろと考えることがありました。

まず、記事の冒頭は次のような文章から始まります。


アベノミクスによる円安のもと、日本企業の利益は過去最高をぬりかえた。

 巨額のもうけの行き先は、企業の預金や株主への配当で、社員の給与や設備投資には回らない。

 企業が栄えれば国民のくらしが豊かになる‥‥。そんな図式は、平成で終わりを告げた。』


そして、この記述を裏付けるかのような、次のような事実が紹介されていました。

・企業が16年度に稼ぎ出した純利益は過去最高の50兆円にのぼり、

 金融危機が本格化する前の96年度から5・6倍に増えた。

 だが、人件費は2%増、設備投資は6%減った。リーマン・ショック前の06年度と比べても、

 純利益は8割増えたが、人件費は横ばいで、設備投資は2%減った。

・一方で、国内企業が16年度末に保有する現預金は211兆円と過去最高の金額にふくれあがった。

 個別の企業(単体)を見ると、スバルが10年前の18倍、日産自動車は9倍、

 三菱電機は2.5倍に増えた。

・現預金とともに企業が稼いだお金を回しているのが、株主への配当だ。

 16年度の国内企業全体の配当額は、10年前から24%増の20兆円。

 スバルは配当額を17倍に増やしたが、正社員の給与総額の伸びは3割強にとどまる。


なお、高度成長を遂げた昭和時代は、企業がもうかれば、

社員の給与や設備投資に回り、さらなる消費や投資に結びつく好循環があって、

財務省の法人企業統計調査(金融・保険業除く)によると、

1961~89年度にかけて純利益は21倍に増え、その間、

人件費と設備投資(ソフトウェア除く)はそれぞれ37倍、17倍となったとのことでした。


う~む‥‥、こうした高度成長時代の好循環は、どうして平成に入ると崩れてしまったのでしょう?

記事によると、どうやらその答えは、

「90年代の金融危機リーマン・ショック」にあるようです。

リーマン・ショックの際には、グローバル化の寵児といわれ、無借金経営で知られた

あのトヨタでさえ、市場での資金調達が困難になったとのことで、

それ以降、世界市場が回復し、過去最高益を稼げるようになっても

トヨタは、新工場建設などには慎重なまま。その結果、自由に使える資金は9兆円を超え、

これは、リーマン前の2倍以上で、「半年間、1台も車が売れず、

1円も資金が借りられなくても経営が成り立つ金額」だそうですです。


再び、う~む‥‥。(沈黙)

そういえば、そんな企業の経済環境を反映してか、私の現役公務員時代を振り返ってみても、

給与は2000年(平成12年)頃がピークで、それ以降、定年退職までのは約15間は、

給与抑制措置などもあって、ベースアップ昇の恩恵に浴したことはほとんどありませんでした。


なお、先ほどの記事では、『グローバル化が進み、世界中で富がごく一部の富裕層に集中。

中間層からずり落ちていく人が増え、社会の分断が深まる。』とも書かれていました。

グローバル化と資本主義の未来‥‥。

私たちはこの先、いったいどんな社会と世界を生きて行くのでしょう?

パンドラの箱ではないけれど、「希望」だけは生き残る社会であってほしいです。