昨日の日経新聞電子版「ヒットのクスリ」の
『レンタルなんもしない人~悩み、承認欲求は無限』というタイトルの記事を読んで、
いろいろと考えるところがありました。
記事で紹介されていたのは、一人分の「存在」を提供するというサービス。
「人はいるだけで価値がある」という考え方だそうです。
具体的には、記事の後半部分に、次のようなことが書かれていました。
『「明日はしんどい仕事があるので、どのタイミングでもいいので自分を思い出してほしい」
「近々試験があるので(メールで)がんばれと言ってほしい」‥‥。
関わりが薄い人の頼まれ応援でも人工知能(AI)にはない喜びが生まれるようだ。
ちなみにツイッターで話題になったのは「愛犬と散歩中に偶然を装い、遭遇してほしい」
「転勤するが、新幹線のホームで手を振ってほしい」。
ホームでの別れは友人や家族が付き添うのが普通だが、「友人だとしんみりし過ぎてしまうので、
関わりの薄い人がいい」という。まさにこれがなんもしない人レンタルの真骨頂。
家族や友人は大切だが、濃い関係ゆえに頼みづらい、言いづらいことがあるのだ。
実際に人に言えないことを話したいとの依頼も舞い込む。深い悩みほど家族や親友には話せない。
「なんもしない」ので悩みを解決したり、助言したりしないが、一人で抱えるにはつらく、
はき出すことで気が楽になるのだろう。趣味や愚痴など人生のワンシーンを聞いてほしいとの依頼も。
友人などに人生を語ると「うざい」と思われそうで話しづらい。
だが誰かに話すことで「自分が人生の主役」との願望が少し満たされる。
人生がうまくいかない結果、誕生したなんもしない人レンタルは「無」がキーワード。
それが生活者の思いを受け止める有用性につながった。「たとえば君がいるだけで心が強くなれること」。
米米CLUBの大ヒット曲を思い出した。』
う~む、なるほど‥‥。「無」から「有」ですか‥‥。奥深いですね‥‥。
普段は、妻や娘から「うざい」と言われている私ですが、「人はいるだけで価値がある」との言葉に、
世間のどこかで役に立っているかもしれない自分を想像して、気持ちが前向きになれます。
ひさしぶりに、希望をつくるために不可欠な、「ゆるやかな紐帯」という言葉を思い出しました。