今日の日経新聞一面コラム「春秋」の次の文章を読んで、
その人の名と、その人の著書と曲を懐かしく思い出しました。
『きょうは戦後歌謡界の巨星、美空ひばりの命日である――と書いても、
若者のなかには曲を知らない人が少なくないだろう。亡くなったのは平成が始まった年だった。
30年のうちに、この歌姫が体現した昭和の哀歓はすこしずつ記憶から遠のき、
世相は軽くなったのだ。そんな具合だから、きょうが命日の、
もうひとりの女性のことなどほとんど忘れられているに違いない。
ちょうど50年前に自ら命を絶った立命館大の学生、高野悦子である。
没後に刊行された手記「二十歳の原点」は1970年代に広く読まれ、ロングセラーになった。
書棚にこの本が眠っている人はたくさんおられよう。
いま読み返すと、彼女はずいぶん生硬な言葉で自身を追いつめている。
学生運動の渦のなかで消耗し、恋に苦しみ、救いを読書や学習に求めて‥‥。
あげく「私の敵は独占資本だ」「自らのブルジョア性に向けて叫んだ」などとつづる。
時代とはなんと残酷なものか。そのあたりの切なさが胸を打ち、読者をとらえたのだ。
~ (以下、略) ~ 』
「二十歳の原点」を友達に薦められて初めて読んだのは、
確か、高校二年生の頃だったと記憶しています。
コラムには「書棚にこの本が眠っている人はたくさんおられよう。」と書かれていて、
私も単行本を持っていたはずなのですが、いくら書棚を探しても見つかりません‥‥。
いったい、いつ、どこで失くしてしまったのでしょう‥?
そう思うと、無性にこの手に取って、再び読み返したい気持ちになりました。
そして、もうひとりの美空ひばりさん‥‥。
私の大好きな「川の流れのように」など、ひばりさんの名曲は、
おかげさまで、いつでも「You Tube」で聴くことができます。
そこには、年を取るごとに涙腺が緩む、生きるのが下手な「私」がいます‥‥。