NHKテレビテキストの『100分de名著〜アンネの日記』を読了しました。
テレビでは全4回のうち、まだ1回しか放送されていませんが、
テキストの方を先に読んでしまいました。
テキストでは、随所に日記本文の引用があったので、
書棚に眠っていた「アンネの日記」(深町眞理子訳:文芸春秋社)を取り出して、
その引用箇所を確認しながら読み直しました。
実は、この本も、いつ、どんな目的で買ったのか思い出すことができません。
ただ、改めてページを開けてみると、黄色い色鉛筆で線を引っ張っていました。
例えば、テキストでも引用されていた個所を含めた次のような文章です。
『じっさい、わたしがいまだに理想を全部捨て去っていないのは、驚くべきことです。
あまりに現実ばなれした理想で、とうてい実現しそうにもないと思われるからです。
それでもわたしはそれを持ちつづけています。
なぜなら、たとえいやなことばかりでも、
人間の本性はやっぱり善なのだということを、いまでも信じているからです。
わたしには、混乱と、不幸と、死を土台にして、
その上に希望を築くことなんてできません。
この世界が徐々に荒野と化してゆくのを、わたしはまのあたりに見ています。
つねに雷鳴が〜わたしたちを滅ぼし去るだろういかずちが、
近づいてくるのを聞いています。
幾百万の人びとが、苦しんでいるのを感じとることもできます。
でも、それでいてなお、顔をあげて天を仰ぎみるとき、わたしは思うのです。
〜いつかはすべてが正常に復し、この苦しみも終わって、
平和な、静かな世界が訪れるだろう、と。』
さて、今回のテレビでの案内役は、作家の小川洋子さんです。
小川さんは、アンネの関係者を訪ねた本も執筆していて、
熱烈な「アンネの日記」ファンとして知られているそうです。
そして、先日、近所の本屋に立ち寄ってみると、
地元の県立伊予高校生向けへの課題図書が平積みされていました。
その中に、小川さんの「博士の愛した数式」(新潮文庫)という本があり、
なにか不思議な縁を感じて、ほとんど衝動的に購入してしまいました。
私の本の購入動機は、どうやらこういうパターンが多いようです。
先ほどの単行本の「アンネの日記」も、
おそらく当時の「完全版」という言葉に引き寄せられて購入したのだと思います。
要は、深く考えていないということです。

- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/07/25
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