今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、心に響くコラムでした。
その全文を次のように引用させていただき、この日記に書き残しておこうと思います。
『「十二月になると一日一日に時を刻む音が聞えるようである」(山本周五郎「年の瀬の音」)。
残すところ10日余、せかされるように年が暮れようとしている。
冬本番らしく強烈な寒波がやってきた。積雪がさらに増す所もありそうだ。運転や除雪には十分注意したい。
エアコンのスイッチにのばしかけた手に、一瞬のちゅうちょが絡みつく。
このところの光熱費の高さは近年記憶にない。このまま暖房を入れるか。
いいや、1枚重ね着すればギリギリしのげるかも。そんな瀬踏みが当たり前になってきた。
もっとも電気そのものが失われた街々のことを思えば、ささいな悩みというべきか。
ウクライナの冬はどんよりした天気が続くという。
キーウでは最高気温が0度前後、大きくマイナスに落ち込む日も珍しくない。
ロシアがエネルギーインフラを狙い撃ち、多くの人々が暖を取れていないと伝わる。
ひきょうな攻撃をどこまで続ければ気が済むのか。この一年、数え切れないほど湧いた怒りに改めて震える。
ベートーベンの誕生日ともいわれる17日夜、東京都武蔵野市で「第九」のコンサートが開かれた。
収益はすべてウクライナ支援に回るという。会場はほぼ満席で、募金箱には幾重にも行列ができていた。
あちこちで同じ旋律と声援が響いているのではと想像する。
酷寒を脱し再び平和の歓喜が訪れるまで、希望を捨てまい。』
このところの酷寒に閉口しつつ、また、光熱水費のことが一瞬頭をよぎりながらも、
手元のスイッチに手を伸ばせば部屋が温まるという、この国に生きていることのありがたさ‥。
そして、コラムの「希望を捨てまい」という末文を読んで、
「待つこと、希望すること」(モンテ・クリスト伯)という言葉が思い浮かびました‥‥。