東日本大震災復興対策本部事務局の岡本全勝次長が、
1月22日のブログで紹介されていた鎌田浩毅京都大学大学院教授の論文
「東日本大震災後のわが国における防災の課題」を読みました。
大変わかりやすく、また勉強になる内容でした。
私が鎌田先生の論文の中で興味を引かれたのは、
「ストック型文明からフロー型文明へ」という最後の章です。
『地球科学で「長尺の目」と呼ぶ
100年とか1000年とか長い目で見ることが
生き方や文化を変えることにつながる。』
という思考は、凡人にはなかなかできないことです。
その他、最後の章から鎌田先生のメッセージを一部紹介させていただきます。
・東日本大震災は我が国にとって戦後最大の試練と言われている。
地球科学的に見ると、実は戦後の復興期は地震も少なかった時期という
幸運に恵まれていた。
・地球科学の観点では、これほどの被害(東日本大震災)が起きたのは
人類が物質を溜め込むようになったことに原因が求められる。
経済学の用語ストックを援用して「ストック社会」と呼ばれるが、
そうした社会では溜め込んだものが大きいほど 自然災害によって失うものも大きくなる。
・我々が当たり前のように消費している石炭や石油などの化石燃料は、
いずれも地球上の生物がストックしてきたエネルギー資源である。
使用してきた燃料がどのくらいの時間で出来上がったものかを振り返ると、
たとえば石油は1000万年ぐらい、ウランは一億年ぐらいかけて形成されたもの。
地球が途方もない時間をかけて作った資源を、
人類はここ200年ほどで燃やし尽くそうとしているわけである。
これはストック社会の末路である。
・「3.11」から学ぶべき教訓は、人類が1万年ものあいだ継続してきたストック社会を
昔のフロー社会に変える時期が来た、ということではないだろうか。
なお、私が所持している鎌田先生の著書には、
「座右の古典」(東洋経済新報社)という知的好奇心を刺激する良書があります。
幅広く、しかも奥の深い教養に感服します。
- 作者: 鎌田浩毅
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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