「辞書の改訂版というのは、要するに、新語を増やした版ということだろう。
私は、別に新語などには興味がない。
昔購入した『○○国語辞典』だけを一生使うつもりだ。」(第5章「手入れ」から)
はぃ……、私も、この本を読むまでは、そのように思っていました。
この本というのは、「辞書を編む」(飯間浩明著:光文社新書)です。
著者の飯間浩明さんは、「三省堂国語辞典」の編纂者なのですが、
辞書の編纂作業は、
「編集方針」→「用例採集」→「取捨選択」→「語釈」→「手入れ」という
気の遠くなるような地道な作業に支えられていることを知って、痛く感動した次第です。
例えば、「キャバクラ」という語釈のために、
飯間さんは実際にキャバクラに行って、
そこで働く女性の方に確認することによって、語釈の正しさに自信を深めたそうです。
ちなみに、キャバクラの語釈とは、
「若い女性が横についてもてなす、クラブより大衆的な酒場。」
……なるほど、この語釈なら他の業態の酒場と区別がつきそうです。
さて、私がこの本を購入したのは、
読売新聞「よみうり堂」に書かれた
エッセイスト・平松洋子さんの書評を読んだのがきっかけです。
実際、とても面白くて、購入して読んでよかったと思っています。
平松さんは、書評で、この本を次のように紹介されています。
『従来の語釈も入念に「手入れ」するのは、「新陳代謝を促す」ため。
つまり、辞書は生き物なのだ。
「辞書を編むという営みを通じて、ことばによる世界の模型が作りたい。」
その執念もまた、あまりに人間的。』
「三省堂国語辞典」第7版は、2013末に刊行予定だそうです。
どんな辞典ができるのか楽しみです。
- 作者: 飯間浩明
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 新書
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