日経新聞で連載されている
松本紘・理化学研究所理事長の「私の履歴書」を
毎日楽しみにして読んでいます。
ここ数日は、京都大学の総長をされていた時のお話でした。
そのなかから、印象に残った記述を二つ、書き残しておきたいと思います。
『私は教養教育は非常に重要だと考えている。
学問の習得を樹木の成長になぞらえると、
大学の教養教育は高校時代までに育った樹をしっかり伸ばす役割を担う。
ここが揺らぐと、専門教育をしても枝の先端は伸びず、豊かな実りは生まれない。
幅広い知識の積み重ね、深い教養がないと独創的な発想も出てこない。
家庭教育や学校教育も含めた問題だ。』
『私は同窓会の会合で大学土壌論、大学基軸論を唱えた。
大学は自分を育んだ土壌であり、人生の節目に再訪し
自分の立つ位置を確認する軸のような存在と考えてほしいという意味だ。
「群れないというのは人間関係を作れない言い訳だ。
もう言わないでほしい」と強調した。』
どちらもおっしゃるとおりだと思います。
ただ残念ながら、そう思うのはやっとこの歳になってからで、
私自身が大学生の頃には、全くこのような考え方を持ち合わせていませんでした。
ですから、大学生の頃に、
もっとしっかりと教養を身に付けておけばよかったこと、
また、独りの殻に閉じこもらずに、
もって幅広い人間関係を構築しておけばよかったこと、
過ぎ去った日を取り戻すことはできないけれど、
この二つは、これまでの人生の痛切な反省点です。
(私の「60年談話」?です…)
現役の大学生の皆さんには、
教養・学問とよき師・友人を手に入るべく、
積極的に行動されることをお勧めします。