今日15日の日経新聞「経済教室」に掲載された 、鶴光太郎・慶応大学教授の執筆による、
『人生100年 伸ばせ「性格力」~大学・生涯教育に反映と』という論考が勉強になりました。
この論考は、次のような文章で始まっていました。
『人生100年時代においては、就業も80歳まで見据えることができるようになる。
昨今の技術革新のスピードの速さを考えれば、我々が学ぶべき対象も大きく変化している。
年齢に関係なく学び続けることが重要だし、
機会をみつけて本格的な学び直しをすることが必要になってくる。
リカレント教育(生涯にわたって教育と就労を交互に行うことを勧める教育システム)のあり方が
重要な政策課題になっているゆえんである。
しかし、我々は何を学び直す必要があるのか。
それは学校の教室で先生が一方的に教える新たな知識であろうか。
単に知識の蓄積とその引き出しだけでする仕事であれば、
高度な仕事にみえても将来はAI(人工知能)に代替されてしまうであろう。
それでは、AIに代替されないような普遍的な能力やスキルとは何であろうか。
そのカギとなるのが「性格スキル」である。
性格スキルとは、心理学や経済学で「非認知能力」と呼ばれてきたものだ。』
へぇ~、そうなんですか‥‥。
「AIに代替されないような普遍的な能力やスキル」が「性格スキル」とは意外でした。
また、「性格スキル」が心理学や経済学の世界では「非認知能力」と呼ばれることや、
心理学の世界で「性格スキル」は、5つの因子(ビッグ・ファイブ)に分解できることが
コンセンサス(合意)となっていて、それらが組み合わさって性格が形成されていることを知りました。
なお、この5つの因子とは、
①「開放性」~好奇心や審美眼、②「真面目さ」~目標と規律を持って粘り強くやり抜く資質、
③「外向性」~社交性や積極性、④「協調性」~思いやりや優しさ、
⑤「精神的安定性」~不安や衝動が少ない資質 の5つで、
このなかでも、「真面目さ」が職業人生に大きな影響を与えることがわかっているそうです。
ところで、この「真面目さ」でふと思い起こしたのは、
『あはたは本当に真面目なんですか?』と問いかけていたことです。
今回の鶴教授の論考とは全然関係ないけれど、人が生きていくうえでの「真面目さ」というのは、
漱石の時代においても、現在のAIの時代においても、その言葉の定義や解釈は別として、
とても普遍的で大切なキーワードではないかと考えた次第です。