今日11日の朝日新聞デジタル版「波聞風問」は、
『定年延長 働ければいい、ではない』というタイトルで、
多賀谷克彦・編集委員が、次のようなことを書かれていました。
この記事を読んで、定年退職後に再就職した私も、深く考えるところがありました。
『66歳の新入社員が今春、ネスレ日本(神戸市)に入った。石川一成さん。
自宅から通える首都圏の支店で、スーパー27店舗を担当する。
週5日、納品先の店を訪ね、店長らから来店客の反応や商品の動きを聞く。
週に1度、支店長に店頭の様子を報告する。
~ (中略) ~
高岡浩三社長は言う。「ダイバーシティー(多様性)は成長戦略。
生き生きと働くシニアを見て、若手も刺激を受けていると聞いている」
だが、石川さんのように定年後も、やりがいを感じて、働いている人はどれだけいるだろう。
シニアの新規採用も、社員並み待遇も、あまり聞いたことがない。
年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられ、
企業は60歳の定年後も希望者全員を継続的に雇用することが義務づけられている。
では、実態はどうか。立正大学の戎野淑子教授(労使関係論)らの企業と労組への調査では、
多くの企業が60歳定年を区切りに業務、人事制度を完結させているため、
シニアの役割を見いだせていない実態が浮き彫りになった。
調査では、大半の企業が65歳まで非正規社員として再雇用し、
7割以上が同じ職場で働いていた。
そのためか、再雇用時、彼らに役割や仕事を明示していた企業は4割しかなかった。
つまり、多くの人は一律に賃金を下げられ、求められる役割もはっきりしないまま働いている。
役割や仕事が明確でないため、評価制度もない。これでは就労意欲を持ち続けることも難しい。
~ (中略) ~
定年後の再雇用は、シニアに働く機会を設けさえすればいいのではない。
彼らのやりがいを見いだすことこそ、「課題先進国」といわれる日本の役割であろう。』
う~む、なるほど‥‥‥。
「シニアのやりがいを見出すこと」が大切なことには、もちろん異論はないのですが、
シニアの側も、就労意欲を持ち続けるためには、
「定年退職後の意識改革」と「ポータブルスキルの習得」が必要不可欠なのではないかと、
自らの苦い経験を踏えて、痛切にそう感じた次第です。