日経新聞では、石原信雄・元内閣官房副長官の「私の履歴書」の連載が続いていましたが、
月末の今日がその最終回でした。最終回の今日も、次のような印象に残る記述がありました。
『14年から官邸が各省幹部の人事権を握り、官邸一極集中の政治主導が強まっている。
政治主導は政策の重点を政治が決めることで、それと行政の公平性・中立性は別の話である。
支持政党や思想にかかわらず、同じ要件の人が行政から受ける恩恵に差があってはならない。
有力政治家に忖度(そんたく)して行政の公平性・中立性が冒されるのは民主主義の後退で、
危険なことだ。官邸が人事権を握る今、勇気のいることだが、役人はこのけじめを守ってほしい。
政治の側には行政の公平性・中立性を堅持するため、
人事の運用で各省の意見を尊重するよう望みたい。』
そして、連載の全編を通じて印象に残っているのは、石原さんが尊敬できる政治家として、
竹下登元総理と村山富市元総理の、お二人の名前を挙げられていたことでした。
竹下元総理には「満身創痍でもあきらめない決意を感じた」、
村山富市元総理は「公平無私で責任感の強い方である」と、当時を述懐されていました。
たぶん、お二人とも石原さんの目から見て、リーダーとしての「人間性」に優れていたのだと思います。
そういえば、連載を読んで、現役職員の頃に、石原さんの御講演を拝聴したことを思い出しました。
その時、どんなことをお話しされたのか、もうすっかり忘れてしまいましたが、
誠実そうなお人柄と丁寧で分かりやすいお話しぶりは、しっかりと覚えています。
なお、石原さんは連載の最後に、
『官僚諸君が大きな制度設計に関わる機会はすぐそこにある。
政と官がよい緊張感を持った令和の時代の国造りに期待したい。』と述べられていました。
「令和の時代の国造り」がどのようなものになるのか、
現役地方公務員を退いた私も、興味と関心を持ち続けていたいと思います。