一昨日の25日、衆院本会議で野田佳彦元総理が行った安倍晋三元総理への追悼演説は、
聴く者の心を打つ、とても素晴らしい内容だったと思います。
この演説の中で、私の印象に強く残ったのは、次の箇所でした。
『‥‥その上で、申し上げたい。長く国家のかじ取りに力を尽くしたあなたは、
歴史の法廷に、永遠に立ち続けなければならない運命(さだめ)です。
安倍晋三とはいったい、何者であったのか。あなたがこの国にのこしたものは何だったのか。
そうした「問い」だけが、いまだ中ぶらりんの状態のまま、日本中をこだましています。
その「答え」は、長い時間をかけて、遠い未来の歴史の審判に委ねるしかないのかもしれません。
そうであったとしても、私はあなたのことを問い続けたい。
国の宰相としてあなたがのこした事績をたどり、あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も、
この議場に集う同僚議員たちとともに、言葉の限りを尽くして、問い続けたい。
問い続けなければならないのです。
なぜなら、あなたの命を理不尽に奪った暴力の狂気に打ち勝つ力は、言葉にのみ宿るからです。
暴力やテロに、民主主義が屈することは、絶対にあってはなりません。
あなたの無念に思いを致せばこそ、私たちは、言論の力を頼りに、不完全かもしれない民主主義を、
少しでも、よりよきものへと鍛え続けていくしかないのです。‥‥』
故人に最大限の尊崇の念を抱きつつ、一方で、その業績についての評価を問い続けたいという姿勢‥‥。
政治家としてのあるべき姿を見たような気がしました。
野田元総理という政治家が、野党である立憲民主党に存在するという事実は、
一つの「奇跡」のようでもあり、一つの「希望」のようでもあります‥‥。