長い間、積読状態にあった『平成デモクラシー史』(清水真人著:ちくま新書)を読了しました。
著者が執筆された「官邸主導~小泉純一郎の革命」、「経済財政戦記~官邸主導小泉から安部へ」、
「首相の蹉跌~ポスト小泉 権力の黄昏」、「消費税~政と官の「十年戦争」」という4冊の本を、
これまでに読んでいたこともあり、本書は、その内容の復習といった意味合いもありました。
ただ、本書のタイトルは、あくまでも「平成デモクラシー史」で、
「平成デモクラシー」という点に立脚し、「この時代を俯瞰し、意味を与える」という、
著者の「志」のもとで書かれています。
本書によると、「平成デモクラシー」とは、
『日本国憲法に書かれた国家統治の原理である議院内閣制という「顕教」と
55年体制と言われた自民党長期政権の現実、戦後昭和の「密教」という二重構造を
「顕教優位の方向で一元化する」とも言うべき権力の再編成の試み』であるとし、
選ばれた首相に一定期間、権力を集中させるという、政権選択と政治主導の組み合わせが、
「平成デモクラシー」のガバナンスの両輪だ』との解説がありました。
ちなみに、本書は、自民党が「政治改革大綱」を党議決定し、衆院の中選挙区制見直しと
小選挙区比例代表並立制の導入を提言した1989年(平成元年)から
衆院選で自民党が大勝し、第4次安部内閣が発足した2017年(平成29年)までの
「平成デモクラシー」の流れが記述されています。
この間には、いわゆる「橋本行革」や、あの悪夢のような民主党の「政治主導」もありました。
本書を読むことは、それはそのまま、国政に密接にリンクする地方行政に関わった、
私の長い地方公務員生活を、懐かしく(??)振り返る「旅」でもありました‥‥。