しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

止められない理由

日経新聞で連載が続いていた野中郁次郎一橋大学名誉教授の「私の履歴書」は、

昨日がその最終回でした。そこには、次のようなことが書かれていました。


『7月1~2日、スコットランドエディンバラで開かれたコンファレンスに参加した。

 テーマは「新しい啓蒙」。米英のビジネススクールなどが共催し、

 学者、政策担当者、経営者ら約300人が集まった。自国を優先する「新重商主義」が広がる今、

 資本主義とグローバルな秩序をいかに作り直すかを論じた。

 会場は、経済学の父と呼ばれるアダム・スミスの旧宅である。

 アダム・スミスは「国富論」で自由競争の効用を説く一方、

 「道徳感情論」ではシンパシー(同感)の大切さを訴えた。

 他者への同感というディシプリン(基盤)があって初めて市場競争が意味を持つ、

 というのがスミスの思想だ。ところが、株主資本主義や金融資本主義がまん延し、

 人々から同感が抜け落ちている。今こそスミスの原点に戻ろうという意図が込められた。

 人工知能(AI)が普及し、デジタル化が進むにつれ、逆に暗黙知の存在が意識されている。

 今の時代はAIと人間・自然、アナログとデジタル、モノとコトとのダイナミックな両立が重要だ。

  ~ (中略) ~

 最後に一言。人間の本質は、デカルトのいう「我思う、故に我あり」の一人称ではなく、

 共感する二人称の行為にある。二項対立ではなく、

 対立と協調を両立させる「二項動態」の関係性こそが創造性の源泉だ。

 他者との出会いを通じた自在な意味づけ、価値づけのただなかで、

 新たなアイデアや概念は湧き出てくる。「共創」に手抜きは許されない。

 平凡な私は、自分に欠けるものを持つ人と「いま・ここ」の文脈で学際的にペアを組んで対話を重ね、

 実践的な経営学の理論化を試みてきた。人間の生き方を踏まえながら、共通善に向かって

 知の共創をしない限り、米国流の経営学は超えられない。』


この1か月、まるで経営学の入門講座を受講しているようで、大変勉強になりました。

今日からは、日経新聞電子版「経営者ブログ」でお馴染みの、

鈴木幸一・IIJ会長の「私の履歴書」の連載が始まったので、こちらも楽しみに読みたいと思います。


ところで、定年退職後に給与所得が大幅に減少し、それに伴い、自分のお小遣いも少なくなって、

一時期、日経新聞とその電子版の購読を止めようかと思ったことがありました。

でもやっぱり、この「私の履歴書」をはじめとした文化欄、「経済教室」、

「リーダーの本棚」、そして読書欄の書評など、その魅力は捨てがたく、今日まで購読が続いています。


今日から消費税が10%に増税となりましたが、新聞は軽減税率の対象とのことなので、

生活がよほど苦しくならない限り、生涯学習自己啓発のために、

そしてなによりも、この日記を書き続ける「教材」とするために、購読を続けようと思っています。