ずいぶんと久しぶりに、日経新聞デジタル版で「やさしい経済学」に目を通してみました。
今は、中田真佐男・成城大学教授の執筆による
『キャッシュレス社会を展望する』の連載が、今月21日から続いています。
連載の第1回目では、次のようなことが書かれていました。
『日本は「現金大国」といわれます。
しかし現在ではキャッシュレス先進国と遜色のないスマートフォン決済サービスも提供されています。
それにもかかわらず、多くの消費者や店舗がいまだに現金決済を選好し続けている現状は、
キャッシュレス化が「遅れている」というよりも、
「背を向けている」と表現するほうが適切かもしれません。
日本の現金決済サービスは、
①耐久性があり偽造に強い紙幣・硬貨、②ATMなど金融機関拠点の緻密な配置、
③充実した現金輸送網‥‥が支えていますが、
消費者や店舗はこれまで、インフラ維持のコストをほとんど負担してきませんでした。
しかし、今後も負担なしで現金決済を利用するのは難しいでしょう。
このうち①については、政府が2019年4月に紙幣と500円硬貨の刷新を発表しており、
今後も維持される見通しです。
しかし、マイナス金利の長期化で金融機関の経営環境が厳しさを増すなか、
②は現状水準維持が難しくなっています。
③についても、人口減少で人手不足が常態化すれば、現金運搬コストの上昇に直結します。
この結果、明示的な手数料の引き上げか、ATM台数の減少や
稼働時間短縮による利便性低下という形で、現金決済の利用コストは実質的に増していくでしょう。』
う~む、なるほど‥‥。
現金決済サービスに係るインフラ維持のコスト負担なんて、これまで考えてもみませんでした。
現金決済は、「ATMなど金融機関拠点の緻密な配置」と
「充実した現金輸送網」に支えられていたのですね‥‥。
そして、このコラムを読んで、某経済レポートに、銀行のなかでも地域銀行は、
・人口や企業数の減少が進行していることに伴い、
顧客数や資金需要の減少を背景として、その経営基盤が揺らいでいる。
・金融緩和に伴う低金利が長期化していることもあり、
貸出金利の引下げ競争が激化し、収益の拡大が困難となってきている。
と書かれていたことを思い出しました。
キャッシュレス化に「背を向けること」は、もうできない時代になっているのですね。
かくいう私は、そうした時代の流れや要請に、取り残されそうな気がしています。
でも、「現物の通貨」の価値や、その未来はどうなるのかしら‥?
素人には分からないことだらけです。