しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

円安が止まらない

円安が進行し、円の総合的な実力を示す実質実効為替レートも大きく低下しているそうです。

為替のことはよく分からないけれど、今日の日経新聞電子版

「止まらぬ円安 背景や影響、識者はこうみる」というタイトルの記事では、

有識者の方が、その現状などを分析されていました。

私でもなんとか理解できた記述を、次のとおり引用させていただきます。


野口悠紀雄一橋大学名誉教授

 ・実質実効為替レートで見た円安が続いているのは、政府が円安を是とする政策をとってきたからだ。

  円安は製造業の輸出拡大を後押しし、企業業績を押し上げるから有益だと信じられてきた。

  バブル崩壊後、重厚長大系の製造業によって支えられてきた企業城下町を潰さないようにするため、

  円安が求められてきたという事情もある。

 ・円安で企業の利益は膨らんだが、賃金が増えたわけではなかった。

  円ベースでみれば賃金据え置きでも、ドルベースで見れば賃下げという状況が起こっていた。

  さらに、円安で輸入コストが上昇した分は、製品価格への転嫁という形で国民の負担となった。

  円安は企業の利益を一時的には増やすが、国内総生産GDP)を増やさなかった。

  結局、円安政策は労働者を中心とした一般国民の生活を圧迫するだけに終わった。


〇永浜利広・第一生命経済研究所首席エコノミスト

 ・実質実効為替レートがピークだったのは1995年ごろだ。

  そこから円安基調に転じた時期は、日本経済がデフレによる長期低迷に入った時期と重なる。

  これ以降に社会に出た「ロストジェネレーション」と呼ばれる就職氷河期世代を中心に、

  日本人は将来に対する成長期待が持てていない。

  このデフレマインドが海外とのインフレ格差を作り出したといえる。

 ・ウクライナ危機で資源高が続く中、インフレ率格差の加速は相対的な購買力の低下に繫がる。

  このまま何の手も打たなければ、日本は資源などで他国に買い負け、

  一層「貧しい国」へ転落するだろう。

  
〇江守哲・エモリファンドマネジメント代表

 ・問題はどのような政策が必要かだ。資源高が構造的なものである以上、

  金融緩和に基づくリフレ政策を見直すしかない。

  ただ、現状は逆に「指し値オペ(公開市場操作)」で金利上昇を無理に押さえ込んでおり、大いに疑問だ。

  景気悪化につながる利上げはできないにせよ、長期金利の上昇を容認するなど、

  日銀は政策を転換すべきタイミングに来ているのではないか。


〇尾河真樹・ソニーフィナンシャルグループ執行役員兼金融市場調査部長

 ・金融政策は円安を止める抜本的な解にはなり得ない。

  もちろん、金融危機後に緊急対策として始めたはずの金融緩和が恒常化している現状は、

  どこかで修正されねばならない。ただ、利上げで無理に円安を止めることには、

  円高がオーバーシュートするという危険性も伴う。

  日銀がコロナ禍後に金融政策を転換する議論を始める期待はあるが、できることは限定的だろう。

 ・したがって、円安是正ではなく、円安によるインフレを受け入れられるようにする必要がある。

  この観点からも賃上げは不可欠だ。岸田政権の要請だけでは限界があり、

  年功序列に基づく硬直した日本特有の人事制度を変え、人材の流動化を促し、

  労働生産性を高めることが、賃金水準の大幅な上昇には必要ではないか。

  こうした構造改革に加え、海外から日本へ長期の投資を呼び込むための成長戦略も必要だろう。


〇高島修・シティグループ証券チーフFXストラテジスト

 ・問題の本質は、政府が十分な財政政策と成長戦略を打たず、

  潜在成長率を高めるという本質から目をそらし続けてきた点にある。

  財政健全化との両立を意識してか、教育予算を筆頭に成長率を高めるための国家的な投資が

  不十分なものに留まってきた。

  アベノミクスは好機だったが、経済政策の「3本の矢」のうちの構造改革は進まず、

  消費増税によって成長率を抑え込む形にもなってしまった。


う~む‥‥。どなたの現状分析やご指摘も、ごもっとものような気がします。

どうやらこの調子では、さらに円安が進むのではないかしら‥?

もう何年も、日経新聞を購読し、電子版も利用しているのに、

私の金融・経済のリテラシーは、一向に向上する気配がありません。(トホホ)