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しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

全般的危機の真っ只中

報道・ニュース 論考・論評・コラム

今月4日の愛媛新聞「現論」欄に、佐伯啓思京都大学名誉教授が、

「現代世界の全般的危機~欧米発の価値観に試練」

というタイトルの論評を寄稿されていました。

 

イスラム過激派によるテロ、イラク・シリア情勢の混沌、

中国の東シナ海南シナ海への進出、北朝鮮の核実験など、

世界を取り巻く情勢を佐伯教授は、

「現代世界の全般的危機」という言葉で表現されています。

 

では、この「全般的危機」の本質は、どう読み解けばいいのか。

佐伯教授の論評の要旨を、順を追って簡単に整理してみました。

 

・当座冷戦が終わって以後、一気にグローバル化が進行した。

 それを米国は、次のような信念で強力に推し進めた。

・米国が信奉する自由や民主主義は普遍的価値であり、

 そのもとで自由な市場競争をすれば経済成長が達成でき、

 生活は豊かになり、世界は平和になるという楽観主義。

・その楽観主義を実行するための政治力、軍事力を米国は保持する。

・ところが、当の米国自身が国内に大きな格差を抱え、

 もはや世界秩序を維持するだけの力をもたない。 

 政治的にも軍事的にも中東やアジアから撤退したいというのが米国の本音。

・この結果、いわば力の真空ができ、勢力均衡が崩れつつある。

 さらに言えば、この真空をもたらしたものは、

 冷戦以降、「われわれ」が信奉してきた信念に、

 もはや説得力が失われたということ。

 

佐伯教授は、欧州が生み出し、米国が軸になって世界化してきた価値観を、

普遍的な正義であるとばかりに、一気にグローバル化を推し進めた結果が、

上述のような結果であり、

だとすれば、これは、ただ欧米や中東だけのことではなく、

これらの価値観を普遍的な正義として受け入れてきた

「われわれ」にも問いは突きつけられていると指摘されています。

 

う~む、なるほど…。

佐伯教授の論評を読んで、国際社会の警告を無視した

北朝鮮の弾道ミサイル発射の政治的背景も理解できます。

要するに、国際政治情勢に明らかな「力の空白」が生じているからなのですね。

 

幸い、日本には被害はなかったけれど、

「われわれ」が「全般的危機」の真っ只中にいることは間違いなさそうです。

ところで、佐伯教授が言う「普遍的正義」に代わる「正義」はあるのでしょうか?

これから世界はどのような「価値観」を模索していくのか、

私にはさっぱり予測できません……。