今日の日経新聞「科学技術面」を読んでいて、次の見出しに目が留まりました。
『がんの親玉たたく新薬 慶大が確認〜再発・転移防ぐ 数年内に実用化目指す』
記事の冒頭部分を引用させていただきます。
『慶応義塾大学の佐谷秀行教授と永野修講師らは、
がんを生む親玉とされる「がん幹細胞」をたたく新薬候補の作用を
胃がん患者の臨床研究で確かめた。
大腸炎の治療に使う薬の成分をがんにも応用したところ、
数人の患者でがん幹細胞が減ったという。
抗がん剤や放射線が効かず、再発や転移の元凶といわれてきたが、
攻略の糸口をようやくつかんだ。数年内にもがんの根治につながる薬の実用化を目指す。』
記事の中に出てくる「がん幹細胞」とは、
あたかも“女王蜂”のように、
がん細胞を次々と生み出し腫瘍をつくる、親玉的な細胞で、
抗がん剤に強く、がん細胞が死ぬような条件でも生き残る、とても厄介な存在です。
この記事を理解するのに役だったのが、
9月19日(木)に放送された「NHKクローズアップ現代」の
『がん“根治”の時代は来るか〜“がん幹細胞”研究最前線〜』でした。
この放送の中でも、
日経新聞の記事に書かれている佐谷秀行:慶大教授が登場します。
リウマチの治療ですでに使われている薬を用いて
臨床研究を行っていることが放送されていました。
番組ゲストの中釜 斉:国立がん研究センター研究所長は、
「がん幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞の発見によって、
「5年生存率は20年後に80%になるかもしれない。」という
確信に満ちた発言をされていました。
義兄が胃がんで亡くなってから、
早いもので2カ月半が経とうとしています。
がんを根治する新薬がもっと早く開発されていればと思うと、残念でなりません。
がんは、本人だけでなく、家族や友人など多くの人を困難な環境に陥れます。
そうした人々のために、
最前線で「がん幹細胞」と格闘されている関係者の方々に
心から敬意を表しますとともに、
近い将来、人類が「がん」を根治する日が来ることを切に祈っています。