しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

デフレ期待の払拭

ふぅー(ため息)。つくづく金融政策は奥が深いものだなぁ…と思いました。

今月25日に、日銀の黒田総裁は、日本経団連の審議委員会において、
「デフレ脱却の目指すもの」というテーマで講演されています。

その講演録を読むと、「日本銀行が目指しているのは、あくまでも「物価の安定」であり、
人為的にインフレを起こそうとしている訳ではなく、
日本銀行の考える「物価の安定」を具体的な物価指数に即して数値的に定義すれば、
消費者物価の前年比上昇率で2%であるということだ」と述べられています。

一方では、今月23日の日経新聞「経済教室」に、
渡辺努・東京大学教授とD・ワインシュタイン・コロンビア大学教授が、
「消費者物価、過信は禁物」という論考を投稿されていました。

論考のポイントは、紙面の言葉をお借りすると、
 ・物価上昇率ゼロに近いと誤差の影響深刻
 ・物価指数の僅かな変化で政策変更は危険
 ・CPI(消費者物価指数)以外の変数に政策リンクも検討を
という3点に要約されます。

要するに、「高インフレ期には、CPIは頼りになる指標だけれども、
CPI上昇率がゼロ近くのときは、真の物価の変動が小さく、
その一方で計数誤差という雑音は依然として大きいから、
金融政策は、公表値の僅かな変化に政策を反映させるべきではない。」というものです。

そして、例えば、名目成長率の目標値を3%として、
日銀はこれが実現するまで超緩和を継続するとコミットすれば、
計数誤差の問題を回避できると主張されています。

???………。なんだか、かえって物事が複雑になるような気がします。
CPI上昇率ゼロではなく2%を目標に掲げる理由は、
第1に、金利引き下げの余地を残す必要性
第2に、CPIの上方バイアスの存在
この2点については、日銀の黒田総裁の認識も同じです。

いずれにしても、
先の講演で、黒田総裁は、
日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を推進し、
 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することをお約束します』
と力強く述べられています。

難しい議論には、なかなかついていけないところがありますが、
日本からデフレ期待を払拭し、
縮小均衡の悪循環を断ち切らないといけないことは理解できました。