「人間心理は、わからないよりもわかる方が安心できるので
不確かなことを回避するように働く」というのが、
行動経済学の分野で有名な「エルスバーグの逆説」の内容だそうです。
今月12日のニッセイ基礎研究所「研究員の眼」に掲載された、
『真の不確実性−不安は、どこから芽生えるのか?』というレポートに書かれていました。
さらに、レポートでは、
「エルスバーグの逆説」の「わからないこと」には、2つの種類があることを、
次のように、わかりやすく解説していました。
『わからないことには、2つの種類がある。
フランク・ナイトという経済学者が100年近く前に唱えたことだが、
どのような確率で物事が発生するか、
即ちどのように確率が分布しているかがわかっているものを「リスク」と呼び、
確率の分布さえもわかっていないものを「真の不確実性」と呼ぶ。
真の不確実性は、例えば被害や損失の底が見えない不安であり、
そこから人々は疑心暗鬼にかかったり、猜疑心に取り付かれたりする。
2008年のリーマンショックは、真の不確実性の典型と言われている。』
なるほど…。
レポートにも書かれているように、
サブプライムローンを何回も証券化してリスク移転を繰り返し、
そのうち金融商品の信用構造がわからなくなると、
確かに、金融不安が生じても不思議ではありません。
そして、レポートの最後には、次のように書かれていました。
『日々の生活の中で、リスクと向き合うときには、
何がわかっていて何が不明なのかを明らかにして、
様々な情報を吟味することで真の不確実性を減らす努力をした上で、
リスクの程度がどのくらいなのかを見極めることが、大切だ』
この一節を読んで考え込んでしまいました。
というのも、普通の人間は、
リスクと真正不確実性の区別は、なかなかわからない、
何がわかっていて何が不明なのか、なかなか明らかにできない、
そういうものではないでしょうか?
少なくとも私には、物事がことごとく「真正不確実性」のように思えてなりません。
きっと私には、情報を吟味する努力が欠けているのでしょうね。(反省)