しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

三者三様の働き方

昨日、そして今日も、雨が降ったりやんだり。

まるで梅雨入りしたような休日の二日間でした。

 

さて、今日29日の日経新聞「日曜に考える」の「時論」欄は、

パート・アルバイトの正社員化や週休三日制の導入、大学1年生の内定など

人事制度の見直しを繰り返す、ファーストリテイリング会長兼社長の

柳井正さんへのインタビュー記事でした。

 

柳井社長と言えば、歯に衣着せぬ発言でも有名ですが、

今回の記事のなかにも鋭い発言がいくつもあり、大変勉強になりました。

例えば次のような…。

 

・日本の社会は「働くということ」について真剣に考えていなかったと思う。

 大学までの教育は知識を詰め込む暗記型が中心だが、社会が求めるのは、

 現実の問題にぶつかったときに過去の知識も踏まえて臨機応変に対応する力であり、

 知識を応用して実行する力だ。

・人間とは成長するものだと考えていたが、

 「成長しなくてもいい」と考える人がいた。

 それでは会社が困るので、本格的に教育をすべきだと考えている。

・主要国の中で最低賃金が一番低いのは日本ではないだろうか。

 こんな水準ではグローバルで活躍する優秀な人材が日本で働こうとは思わなくなる。

 日本企業も現行の水準で甘んじていては駄目だ。

 時給が低いと、働く側も時間の切り売りと考えて単純労働でいいと

 受け止めてしまう。結果として両者の思考を停止させている。

アベノミクスは金融政策主導で進めてきたが、

 それだけでは個人消費が盛り上がらなかった。報酬と消費はニワトリと卵の関係で、 

 どっちが先とかの議論はやめるべきだ。強引にでも時給を上げる状況をつくれば、

 必然的に生産性を上げる経営になっていくはずだ。

・僕は社員に「明日の仕事を今日やれ」と言っている。

 本当の仕事とは、明日何が起きるか予測し、

 そのための準備や計画を明日までに間に合うようにしておくことだ。

 それ以外は作業だ。

 作業だと毎日の繰り返しになってしまい、会社は変わることができない。

イノベーションを起こすには大きな会社になっても

 ベンチャービジネスの考え方をもって経営することだ。

 幹部はこうした矛盾するものを受け入れられるように意識を変えないといけない。

 

そして、インタビューの聞き手である田中編集委員は、

次のように述べられていました。

『柳井氏の言葉は国や経営者に向けたメッセージというより、

 働き手に対するものだろう。日本の高度成長を支えた年功序列や終身雇用が

 既に機能していないにも関わらず、正社員というだけで

 今の立場に安住する人が多い。そんな危機感が伝わる。』

『課題は働きやすさと業績をいかに両立させるかだ。

 正社員化や時給引き上げなど働き方改革はコスト増の要因になる。

 かといって無理な負荷をかければ、人心が離れるリスクもある。

 解の一つは、ファストリが試みているように、

 本人の価値観や家庭の事情に応じて多様な働き方を用意することだろう。

 働き手の声に耳を傾けつつ、それぞれが成長を目指し、

 結果を出せる仕組みが必要だ。働き方改革に終わりはない。

 柳井氏の悩みは日本企業共通の課題でもある。』

 

う~む、なるほど…。

「多様な人材が生き生き働ける社会の実現」は、

企業と働き手、それぞれに働き方の改革を迫ることになり、

その道のりは平坦でないことがよく分かります。

 

「子育てをしながら正社員として働く娘」、「家計を助けるためにパートで働く妻」、

そして、「高齢実父の介護リスクを心配しつつ、定年退職後もフルタイムで働く私」……。

我が家を振り返っても、「本人の価値観」と「家庭の事情」は三者三様です……。