しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

終わりよければすべてよし

私の住む愛媛県伊予郡松前町は、はだか麦の産地です。

黄金色に輝く麦畑は、松前町の初夏の風物詩でもあります。

そんな麦の穂が、たわわに実る季節でもある今日21日は、二十四節気の「小満」。

「一日ごとに夏の陽気になり、万物が成長する気が天地に満ち始め、

人々の心も少しずつ満ちていく」という意味があるそうです。

 

さて、『定年後~50歳からの生き方、終わり方』

(楠木新著:中公新書)を読了しました。

いゃあ~、とても内容の濃い、素晴らしい本でした。

読んだ後は付箋だらけになっていて、どの箇所が重要だったのか、

逆に分からなくなってしまいました。(苦笑)

たくさん心に残る記述がありましたが、そのなかのいくつかを書き残しておきます。

著者と私の年齢は一つ違い。次の文章を読んだ時には、

まるで私のことを書いているようにも思えて、

また、なんだか「人生の同志」に出合えたような気がして、とても嬉しくなりました。

 

『 ~(略)~ 昔の記憶を蘇らせることは、「ライフレビュー」といい、

 認知症の治療にも使われる方法だそうだ。

 なぜ脳にいいのかといえば、昔好きだった曲を聴くと、

 急にその頃のドキドキワクワクした感情が戻ったり、

 ある匂いを嗅いだらある瞬間を思い出すといったことがあるように、

 当時の記憶を蘇らすことで、脳がその時の状態に戻るからだという。

 私は有線放送で1970年代のヒット歌謡曲を聞きまくることがある。

 山口百恵郷ひろみの歌に耳を傾けていると、

 中学校や高校時代の思い出が鮮明に蘇ってくる。

 普段では決して出会えない自分がそこに現れる。

 面白いことに、私が過去の記憶と結びついてワクワクするのは

 25歳までに聞いた歌に限られている。

 それ以後の曲では思い出は蘇ってこない。

 昔見た映画やテレビ番組でも同様なことが経験できるかもしれない。』

 

う~む……、この気持ち、とてもよく理解できます。

著者は、「脳の記憶の点と点を繫いで頭のなかで自分史をつくることが大事」という、

保阪隆さんの言葉を引用されていましたが、

私も知らないうちに「ライフレビュー」を実践していたのかもしれません……。

 

そして次は、この本の最後の箇所で書かれている次の記述です。

『人は発言で美辞麗句を並べることはできても、顔つきだけはごまかせない。

 内面の状況を一番表すのは顔つきであると思っている。

 仕事で言えば、「いい顔」をしている人から、

 より多くのことを学ぶことができる。

 それはその人が個性にあった働き方をしている可能性が高いからだ。

 自分の内面の価値観にあった行動をしているから「いい顔」になっている。

 自分が果たすべき役割に気づいた人は、

 優しい眼差しを持った穏やかな表情になる。 ~(略)~

 定年後の目標はやはり「いい顔」で過ごすことだろう。

 そうすれば息を引き取るときもいい顔であるに違いない。

 逆に言えば、定年後は「いい顔」になることに取り組んでみればいいわけだ。』

 

はぃ~、分かりました。

私も「いい顔」になることに取り組んでみたいと思います。

……が、「自分にとって本当に大事なもの」や

「自分が果たすべき役割に気づく」ことは、実はとっても難しいことなのだと

最近は痛切に感じます。

 

なお、著者は、人生の後半戦の重要なポイントとして、

『極端に言えば、死に向き合わないと、

本当の意味での老いや死に至る準備はできないと言えるかもしれない』

と述べられていました。こちらも深く考えさせられた言葉でした。

「終わりよければすべてよし」となるための準備として、

本書は必読の書だと思います。

 

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)