今日30日の朝日新聞デジタル版「波聞風問(はもんふうもん)」に、
多賀谷克彦・編集委員執筆による
『定休日導入 コストか、創意工夫の始まりか』という記事が掲載されていました。
そこでは、次のようなことが書かれていました。
『大手引っ越しのアートコーポレーション(大阪市)は今月から、
原則として繁忙期を除く火曜日を定休日にした。
引っ越し業務を担う現場の約2千人が対象で、
それこそ顧客最優先のこの業界ではありえないことだという。
この業界でも運転手不足は深刻だ。
若者の自動車離れの影響か、 かつての「トラック野郎」も今は昔という。
寺田千代乃社長は「お客さんに迷惑をかけるかもしれない。
目先の売り上げも下がる。でも、優秀な人材を確保しなければ、
将来にわたって納得できるサービスを提供できない」と決断した。
当の現場も、競合他社も「本気か」と半信半疑だったという。』
う~む、なるほど……。
ヤマト運輸が宅配便運賃の値上げや荷物量の抑制など
顧客サービスの見直しをした報道にも驚きましたが、この記事にもびっくりしました。
「繁忙期を除く」とはいっても、顧客目線からすると、
引っ越し業界が定休日を設けることは、
ほぼありえない選択だという固定観念が私にはあったからです。
私が定年退職後に1年間勤めた民間企業も365日営業でした。
そのため、営業部門をはじめ、社員の多くががシフト制勤務で、
懇親会の開催など全員がそろう社内イベントの実施は困難な状況でした。
ところが、先ほどの企業では、初の定休日になった8月1日には、
職場ごとに、バーベキューや野球大会などが企画されたそうです。
それはさておいて、私がこの記事を読んで強く印象に残ったのは、
担当取締役の方の、『定休日の導入から業務を考え直すきっかけにしたい。
これまで見えなかったものが見えてくれば、新たな工夫もできるだろう』
という一言と、コラムの最後に書かれていた次の記述です。
『定休日を、休日の取得を、コスト増と考えるのか、
それとも創意工夫のスタートと考えるのか。その差はとてつもなく大きい。』
「コスト増か、創意工夫のスタートか」…?
すべての「働き方改革」に通じる「思考の分岐点」だと思います。