町立図書館で借りてきた『サイコパス』(中野信子著:文春新書)を読了しました。
本書を読むまで、私は「サイコパス」という言葉そのものを知りませんでした。
著者によると、もともとサイコパスとは、
連続殺人犯などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念で、
日本語では「精神病質」と訳されてきたところ、近年では、脳科学の劇的な進歩により、
サイコパスの正体 ~脳内の器質のうち、他者に対する共感性や「痛み」を認識する部分の働きが、
一般人と大きく違うこと~ が明らかになってきたそうです。
また、サイコパスの特徴としては、尊大で、自己愛と欺瞞に満ちた対人関係を築き、
共感的な感情が欠落し、衝動的で反社会的な存在であること、
無責任な生活スタイルを選択すること、などの傾向があるとのことでした。
そして、本書を読んで一番驚いたのは、歴史上、サイコパスだと思われる人物として、
織田信長、毛沢東、ロシアのピョートル大帝、ケネディ、ビル・クリントン、
マザー・テレサ、そして、スティーブ・ジョブスの名前が挙げられていたことです。
う~む‥‥、強烈なキャラクターの織田信長や毛沢東はなんとなく分かるとして、
博愛主義者のマザー・テレサや起業家のスティーブ・ジョブスは意外でした。
著者によると、リスクをおそれず大事業をなす度量、政治家として大衆を魅了する才能~
サイコパスの特性は、一歩間違えば独裁と粛清を招いてしまうけれども、
時と場合によっては必要悪であること、
恐怖や不安を知らないサイコパス、率先して危険を顧みずに行動したサイコパスがいたからこそ、
普通の人たちが鼓舞され、追随できたこと、つまり、人類という種の繁栄には必要だったこと、
‥‥このような解説もあって、納得したというか、少し安心した次第です。
なお、本書には、自分がサイコパスかどうかについての
「セルフチェックリスト」等も示されていました。
生まれつき小心者で、なにをするにつけ不器用な私は、
サイコパスでないことは間違いなさそうですが、一方で、世間に貢献することもなさそうです。
いずれにしても、本書を読んで、脳科学の一端を知ることができました。
- 作者: 中野信子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/11/18
- メディア: 新書
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