衆参両院の予算委員会における佐川前国税庁長官の証人喚問から一夜明けた今日、
全国各紙の一面コラムが、どんな書き方をしているのか気になりました。
特に、コラムの「締めくくり」を比較してみたかったのですが、結果はご覧のとおりです。
・日経新聞「春秋」
改ざんの動機や経緯について証言拒否を繰り返し、
それなのに政治家やその周辺の関与についてだけは語気も強く否定する。
土地売却交渉は佐川さんの就任前の話なのだが、ここでも政治サイドの影響はなかったはず、
の一点張りだった。
巧みに言葉を使い分けたつもりかもしれないが、かえって不自然さが浮かびもする。
およそ土地には、記憶を宿す「ゲニウス・ロキ」(地霊)が付いているという。
くだんの小学校は開校寸前でストップがかかり、昨年来、野ざらしになったままだ。
顧みられることもない地霊を呼び出し、森友の土地をめぐる真実を聞いてみたいものである。
いや、その前にこの世の人々にもっと語ってもらわねばならぬ。
公文書は時を超えて引き継がれる国民共有の資産ではないのか。
英国立公文書館では、牛馬の飼育数まで記録した千年前の土地台帳がいまも公開されている。
ノルウェーでは、千年先まで重要文書を保管できる施設が凍土の地に建設された。
日本の公文書史に昨日、モヤモヤの募る証人喚問録が新たに加わった。改ざんの動機は。
首相夫人の影響は。後世に残したいのは全容がすっきりと解き明かされた公文書である。
安倍晋三首相の昭恵夫人が、学校法人「森友学園」の小学校の名誉校長を
一時務めていたことは事実である。もっとも、森友学園への国有地売却や
財務省の文書改竄(かいざん)への関わりを示す証拠は今のところ見つかっていない。
夫人の言葉とされるのも伝聞情報である。にもかかわらず、野党は問題の「キーマン」として、
昭恵夫人の証人喚問を要求している。
「アッキー」と呼んでその奔放な言動をもてはやしてきた、一部メディアも同調する。
昭恵夫人に答えられない質問を浴びせて、何が得られるというのだろう。
昨日丸1日かけて行われた佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問でも、
何一つ新事実は出てこなかった。
26日に中国・北京入りしたのは、やはり北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だった。
中国が再び北朝鮮に影響力を持つようになれば、朝鮮半島情勢は新たな局面を迎える。
トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争では、日本も標的の一つとなっていた。
世界の情勢は激しく動いている。いつまで国会で茶番劇が続くのか。
・毎日新聞「余禄」
中国の隋書倭国伝(ずいしょわこくでん)に7世紀日本の熱湯神判や蛇神判の記録がある。
神判とは人の言葉の真偽を判定するのに神意を求めるもので、
そのために熱湯や蛇の入ったかめに手を入れさせ、やけどや傷を負うかを見た。 ~(中略)~
その一方で改ざんへの首相やその周辺の指示ははっきり否定。
また虚偽と批判された昨年の答弁は正しかったと述べ、
国有地売却には首相や夫人の影響はなかったと断じた。
改ざんの実態は語らずに、政権の関与だけは否定したのだ。
結局は木で鼻をくくったような昨年の答弁をまた聞かされた気がする。
肝心の国有地の不当廉売とその記録改ざんの核心解明へ、
誰にも分かる証言を必要なだけ集めねばならぬ神判なき民主主義国の議会だ。
う~む、なるほど‥‥。
どうやら産経新聞だけが若干「トーン」が違っているようです。
いや、それにしても、各紙のそれぞれの「締めくくり」に、
いつもの「切れ味」がないように感じたのは、私だけでしょうか?
「佐川氏 証言拒否50回連発 森友問題真相見えず」‥‥。
事前にある程予想できたシナリオとはいえ、各紙コラムニストの「ストレス」はいかばかりか、
事情お察し申し上げます。