しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

日々進化する学問

『現代経済学~ゲーム理論行動経済学・制度論』(瀧澤弘和著:中公新書)を読了しました。

いや、正確に言うと、「読んだ」というよりも「眺めた」という感じでしょうか‥‥。

私にはちょっとレベルが高くて難解な本でした。


その難解な本書のなかでも、一つだけ印象に残った記述をあげるとすれば、

経済史家のロバート・アレンが伝えたかったとされる、次のような考え方を解説した個所でした。


『経済史の課題は「諸国民の富の本質と原因に関する研究(アダム・スミスの著書“国富論”の

 正式タイトル)」そのものの探究にあり、豊かな国と貧しい国が生まれてきたのはなぜかという

 根本的な問題を取り扱っている。これこそがわれわれが本当に知りたいことではないだろうか。

 そして、歴史を扱わない経済理論にこれはできない相談であろうと。

 実際、経済学で扱うモデルのほとんどは、時間や空間を明示的に扱わずに、

 限定された範囲でのみ適用可能なメカニズムの説明に終始するものである。

 仮に時間や空間を扱うとしても、現実に生起したダイナミズムの説明というよりも、

 具体的に限定されないような時間や空間を扱い、そこに通底しているメカニズムを

 一般的に明らかにするにすぎない。

 これに対して経済史は、さまざまな可能性のあった経路のなかから

 現実に辿った軌道に焦点をあてることで、経済学に独自の洞察をもたらしてくれる。

 このように考えれば、アレンの発言(経済史は社会科学の女王である)に十分な説得力がでてくるだろう。』


う~む、なるほど‥‥。経済学においても「時間」と「空間」という視点が大切なのですね。

何となく分かったような、分からないような‥‥。

本書を読んで、経済学という学問が日々進化していることだけは、理解できたように思います。