しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

求められる経営者像とは

昨日9日、日経新聞「Deep Insight」に掲載された

『「トラスト」欠いたゴーン元会長 結合なき経営の限界』という記事がとても勉強になりました。

「組織」や「リーダー」について大切なことが書かれていると思うので、

少々長くなりますが引用させていただき、この日記に残しておきたいと思います。


・自動車の取締役を解任されたカルロス・ゴーン元会長が、よく口にしていた言葉は、

 「ダイバーシティー(多様性)」「レジリエンス(回復力)」「コミットメント(結果、奉仕)」

 「モチベーション(動機づけ)」「エンパシー(共感)」の5つ。


・米人事コンサルティング会社のコーン・フェリーが最近、

 世界の経営者や管理職など約15万人を分析して選んだ「これからのグローバル経営者に求められる

 5つのキーワード(原題はセルフディスラプティブ・リーダー)」と照合してみると、

 ゴーン氏の5つの言葉はかなりの部分でそれらと符合する。


・分析されたキーワードとは、「アンティシペート(変化に俊敏に対応する)」

 「ドライブ(他者に活力を与えてものごとを進める)」「アクセラレート(アイデアを素早く実行する)」

 「パートナー(他者と協力し、アイデアを交換する)」「トラスト(多様な力を結合する)」。

 例えば、アンティシペートにはゴーン氏の言うモチベーションがあてはまる。

 トラストの中にはダイバーシティーやエンパシーが含まれるだろう。


・では、それほどまでに先進的な考え方を掲げていたのなら、

 ゴーン氏はなぜ、経営者としての倫理や、報酬・背任を巡る罪に問われ、失脚しなくてはならなかったのか。

 筆者(中山淳史コメンテーター)は、結合を意味するトラストの部分にこそ、

 その真因は隠されていると考える。


・トラストというと一般的には「信用」「信頼」などの意味を思い浮かべがちだ。

 だが、欧米企業では最近、「多様性を認める」「人と人を結合する」などと

 発展的に解釈するようになっているという。

 より具体的に言い換えるなら、「国籍や性別、年齢に関係なく、励まし合いつつ、ものごとを成就する」

 「日本人、フランス人という単一的な集団ではなく、多様な層の間で信頼のネットワークを築く」状態だ。


・それで言うと、ゴーン氏は多様性を強調しつつも、意思決定や取締役会での振る舞い方がワンマンであり、

 カリスマ経営者が陥りがちな「センス・オブ・エンタイトルメント

 (自分ならそれくらいの恩恵を受けて当然との感覚)」と言われる心理状態が長く続いた可能性がある。

 一方で、ルノーのトップを兼務し、日本で過ごす時間が半分以下になった2005年以降には、

 日産社員へのエンパシーも急激に薄れていった。


・年間2千人近い経営者と会うという米投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の創業者、

 ヘンリー・クラビス氏は「格差が広がり、破壊的技術が産業や社会を大きく変える時代だからこそ、

 あらゆる層の人々を結合する力がリーダーには求められる」と話す。


・同氏にとって特に難しいと感じるのはミレニアル世代など若い層だそうだ。

 「人生の目的」「社会正義」「環境や社会にいいこと」など

 行動や消費、就職に際して確たる信念を持って動く一方で、IT(情報技術)リテラシーや家族との時間、

 生活の質へのこだわりが他の世代より強く、ライフスタイルがまるで異なる。

 そこに世代の断絶を感じるという。


・だからトラストなのだろう。新結合とも訳されるイノベーションの現場を例に引けば、

 それが起きなくなった組織には「とてつもないことを考える人材がいなくなった」のではない。

 組織をもり立て、様々な層の人材を結合できるリーダーが不足しているのだ。

 経営者に求められるのは必ずしも一人で引っ張るカリスマ性ではないだろう。

 むしろ、人にささげることに徹する「サーバントシップ(同伴者精神)」こそ、

 これから求められる経営者像ではないか。


う~む、なるほど‥‥。

格差が広がり、破壊的技術が産業や社会を大きく変える時代には、一人で引っ張る「カリスマ性」よりも、

組織をもり立て、様々な人材を結合できる「サーバントシップ」が大切なのですね‥‥。

その「人材を結合させるリーダー」は、普段は目立たないだけで、

私たちが気が付けば、案外すぐそばにいるような気がします‥‥。