久しぶりに読書感想文の日記を書きます。
『武器になる哲学』(山口周著:株式会社KADOKAWA)を読了しました。
本書は、「ロゴス・エトス・パトス」、「ルサンチマン」、「悪魔の代弁者」、「神の見えざる手」、
「人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」を解説しています。
この50のキーコンセプトのなかで、とりわけ印象に残ったのは、
正義感の研究で先駆的な業績を挙げたというメルビン・ラーナーが提唱した「公正世界仮説」でした。
この章の冒頭、著者の次のような解説がありました。
『日の当たらない場所であっても、地道に努力すれば、いつかはきっと報われる、
という考え方をする人は少なくありません。つまり「世界は公正であるべきだし、実際にそうだ」
と考える人です。このような世界観を、社会心理学では「公正世界仮説」と呼びます。』
そして、著者は、「公正世界仮説」の問題点の一つを、次のように指摘されていました。
『‥‥それは、この仮説に囚われた人は、しばしば逆の推定をするということです。
つまり「成功している人は、成功に値するだけの努力をしてきたのだ」と考え、
逆に何か不幸な目にあった人を見ると「そういう目に遭うような原因が本人にもあるのだろう」
と考えていしまうわけです。いわゆる「被害者非難」「弱者非難」というバイアスです。
例えば日本にも「自業自得」「因果応報」「人を呪わば穴二つ」「自分で蒔いた種」など、
弱者非難に繋がることわざがありますね。
~ (中略) ~ さらに「努力は報われる」という公正世界仮説に囚われると「社会や組織を逆恨みする」
ことになりかねないという点も指摘しておきたいと思います。』
そして、この章の最後に、著者は次のようなことを述べられていましたが、
この記述がもっとも私の心に刺さりました。
『世界は公正ではありません。そのような世界にあってなお、
公正な世界を目指して闘っていくというのが私たちに課せられた責務でしょう。
人目もつかぬ努力もいずれは報われるという考え方は、
人生を破壊しかねないのだということをよく覚えておいてください。』
う~む‥‥。どうやら私のこれまでの人生観も、
「努力はいずれ報われる」という「公正世界仮説」に囚われていたような気がします。
そうではなくて、世界は公正ではなくても、公正な世界を目指していく姿勢・態度が大切なのですね‥‥。
座右の書がまた一冊増えて、とても嬉しく思っています。

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
- 作者: 山口周
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/05/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る