今日の日経新聞デジタル版「データの世紀」に掲載された
『離婚の決め手はDNA~「計算された人生」は幸せか』というタイトルの次のような記事を読んで、
正直、びっくりしてしまいました。
『横浜市の板東洋介さん(仮名、42)は毎週末、
普段は元妻と暮らす息子(9)と公園で遊ぶ時間を心待ちにする。
離婚から2年がたち、元妻と会っても会話はほとんどない。
「離婚はDNAデータが決め手だった。後悔はしていない」と話す。
結婚は8年で冷え切ったが、息子もいて終止符を打つか当時は迷った。
「判断材料がほしくて」遺伝子検査の相性判定サービスに頼ると、相性スコアは「48%」。
「(この遺伝子パターンでは)長続きするカップルは少数」と説明された。
板東さんは「生物的に合わないならと吹っ切れた。妻も納得した」と振り返る。
サービスを提供した結婚相談所の社長、伊達蝶江子氏は「相性判定にはスイス企業の技術を使う。
遺伝子データを参考にする人は結婚や離婚の決断が速い」という。
遺伝や心理学の複数の専門家からは「遺伝子が人間関係に影響する可能性はあるが、
科学で解明されていない部分も多い。『相性がわかる』と信じ切らないほうがいい」
(米ニューヨーク州立大のリチャード・マットソン准教授)などと否定的な声も出る。
だが、判定を求める利用者は増え、既に300人を超えた。
データは将来の安全な選択肢をはじき出す、その人の最良の理解者なのか。
西垣通東大名誉教授(情報学)は「過去を熟知した人工知能(AI)が分析すれば、
将来のリスクをなくす助言ができるかもしれない」と話す。
一方で「間違いのない人生には、偶然の出会いや発見もない」という。
果たしてそれは、本当の幸せと言えるだろうか。』
う~む‥‥。(絶句)
普段から不穏な空気が漂う(?)私と妻が、もし相性判定サービスを利用したとすると、
おそらく相性スコアは、10%も満たないような気がします。
でも、そんな夫婦でも、おかげさまで(?)すでにもう36年も連れ添っています。
ところで、記事には「間違いのない人生には、偶然の出会いや発見もない」と書かれていました。
「偶然の出会い」と聞いて、ジャーナリストの「むのたけじ」さんが、
『詞集たいまつ』(評論社)のなかで、次のように述べられていたことを思い出しました。
『人生の行路に偶然はない。
悲しいのは、必然でないものと偶然のように出会い、
必然であるものと偶然のように別れてしまうことだ。』