日経新聞「やさしい経済学」では今週20日から、『家族の変化と社会保障』の連載が始まりました。
この連載は、社会保障だけでなく、家族や世帯によっても担われてきたリスクのシェアが、
小規模化する世帯でどう変化しているか、
それと同時に、今後の社会保障制度はどうあるべきか、を考えるという企画で、
若林緑・東北大学准教授が執筆されています。
第二回目の昨日は、「結婚のメリットとデメリット」がテーマでした。
結婚を経済学の観点からみると、結婚し世帯を構成することには何らかのメリットがあり、
そのメリットがデメリットを上回ることが考えられるとのことで、
若林先生はそのメリットとして、次の5つを挙げられていました。
・メリットとしてまず挙げられるのは「家庭内生産物」で、子どもや愛情が当てはまる。
一般的には結婚したパートナー間でしか生産できないので、結婚し世帯を構成することになる。
・比較優位の原理から、夫婦の一方が家庭外で働き、
他方(つまり配偶者)は家事・育児・介護など家庭内のことを中心に担当するという分業で、
夫婦がともに生活水準を向上させることができる。
共働きの場合でも、それぞれが得意分野を担当することで同様の効果が得られる。
・結婚して家計を形成すれば規模の経済性を享受できる。
家や家電など耐久消費財の多くは、妻が利用しても、夫の利用できる量が減らないことが多く、
家庭内でこれらの財は非競合的な性質を持つ。
・夫婦は互いによく知っているので、情報の非対称性によるモラルハザードの問題を軽減できる。
・比較優位の原理から、夫婦の一方が家庭外で働き、
他方(つまり配偶者)は家事・育児・介護など家庭内のことを中心に担当するという分業で、
夫婦がともに生活水準を向上させることができる。
共働きの場合でも、それぞれが得意分野を担当することで同様の効果が得られる。
・最後に所得低下リスクの保障機能。
夫婦のどちらかが失業や病気、ケガで働けなくなっても、他方が働きに出たり、
働く時間を増やしたりすれば所得低下をカバーできる。
結論として、以上の5つのメリットが、「自由な時間やプライバシーが持てない」、
「人間関係が煩わしい」といったデメリットを上回るのであれば、
結婚し家族を形成すると考えられるとのことでした。
う~む‥‥。
「比較優位の原理」「規模の経済性」など、結婚を経済学の観点から考えたことは、
私はこれまで一度もなかったと思います。
そして、ひとつだけ反論させていただくと、「夫婦は互いによく知っているので、
情報の非対称性によるモラルハザードの問題を軽減できる。」というメリットについてです。
夫婦はいつまで経っても、お互いのことが理解できない存在だと思うのですが‥‥。違うかしら?
まぁ、いずれにしても、経済学の知識を身につけるのは、とても役に立つことなのですね‥‥。(苦笑)