しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

父のいくつかの口癖

今月8日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、

「能ある鷹(たか)は爪を隠す」ということわざで、

いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『ほんとうに実力のある者は、いざという時のために密(ひそ)かに技を磨いており、

 それを無闇(むやみ)にひけらかしたりはしないものだ。

 だからその地力をあなどってはならない。

 もしこのことが真であれば、逆に、能無しは爪をこれ見よがしに立てるか、

 あるいは攻撃を怖(おそ)れ、物陰に潜む。しかもそれを同時にやる人もいる。

 魂胆は見え透いても、それが通ることがあるから、世間は不気味。』


このことわざは、子どもの頃から、父から嫌というほど聞かされてきました。

もう一つ、よく聞かされたのは、「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」です。

「故事ことわざ辞典」には、それぞれ

「有能な鷹は獲物に知られないように、普段は鋭い爪を隠しておくことから、

 転じて、いざという時にだけその真価を発揮するということ」

「実るほど頭を垂れる稲穂かなとは、人格者ほど謙虚であるというたとえ」という説明があります。


技術系のサラリーマンだった父も、

社会人として生きていくうえで、持つべき「人としての素養」として、

この二つのことわざだけは、子供に伝えたかったのだと思います。


そのほかにも、父からよく聞かされた言葉に、

「サラリーマンは身体が資本」というものがあります。

頭がよくて仕事も優秀な人が病に倒れ、その後、思い通りに活躍できなくなった姿を

数多く見てきたことで、何よりも健康の大切さを、これまた子供に伝えたかったのだと思います。


そして、私も私の弟も、知らぬ間にこれらの言葉を、

それぞれの子供に伝えているのが、不思議と言えば不思議です‥‥。