しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「スペース」が閉じる前に

今月20日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、ジョン・ダワーの

「個人の人生でもそうですが、国や社会の歴史においても、

突然の事故や災害で、何が重要なことなのか気づく瞬間があります。」という言葉で、

いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『何もかも失った時、人はあらためて何がほんとうに大事だったかを知る。

 それはすべてを一から考えなおす「スペースが生まれる」ことでもあると、

 米国の日本史研究者は言う。

 が、「もたもたしているうちに、スペースはやがて閉じてしまう」と警告する。

 インタビュー「歴史的危機を超えて」(本紙2011年4月29日朝刊)から。』


う~む、なるほど‥‥。

すべてを一から考えなおす「スペースが生まれる」ですか‥‥。それにしても、上手い表現ですね‥‥。

そのせっかく生まれた「スペース」が閉じる前に、

個々人の場合も、何らかのアクションを起こすことが大切なのでしょうね。


このコラムを読んで、

生涯に一度訪れて二度とめぐってこない唯一無二の時「カイロス」を思い出しました。

ギリシャ神話では、カイロスは「機会」を司る神とされ、

前頭部には長い髪、後頭部は禿(はげ)という姿をしていて、

カイロスが前からやって来る時は、その前髪をつかんで捕まえることができるけれど、

いったんカイロスが通り過ぎてしまったら、後から捕まえることはもうできないそうです。


「スペース」=「カイロス」を見逃すことなく、新たなアクションにつなげるのは、

国家だけでなく個人にとっても、容易なことではないのでしょうね、きっと‥‥。

私も、人生において何回も、この「スペース」=「カイロス」を見逃してきたのだと思います。(反省)