しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「問い続けること」の難しさを学ぶ

NHKテキスト100分de名著『黒い皮膚・白い仮面~フランツ・ファノン』を読了しました。


テキストの文章は分かりやすく書かれているのに、その内容がほとんど理解できなかった理由が、

テキストの最後に書かれた、小野正嗣早稲田大学教授の、次の文章を読んで納得できました。

『「黒い皮膚・白い仮面」が読みにくいとしたら、

 それはファノンがまだ答えを見出していないからでしょう。

 いや、答えはわかっている。それが実現できないことが問題なのです。

 答えは明確なのです。すべての人間の尊厳と自由を実現すること。

 しかしそれはファノンの時代も、現在も実現しているとは言いがたい。

 どうでしょうか。どうすれば人間に真の開放がもたらされるのか。

 ファノンは問い続けます。僕たちに問うように求めます。

 僕たちが問うことをやめたとき、世界は後退してしまいます。

 だから、ファノンは「黒い皮膚・白い仮面」の最後で次のように叫ばずにはいられません。

 それは僕たち自身の祈りでもあります。

 私の最後の祈り、

 おお、私の身体よ、いつまでも私を、問い続ける人間たらしめよ!』


う~む、なるほど‥‥。「答えは明確だけれど実現できていない」ですか‥‥。

『この世界に人種差別が存在する以上、そして人種差別は決して他人事 ではない以上、

 僕たちは「どうすれば人種差別をなくすことができる か?」と絶えず問わなければなりません。

 それは「どうすれば僕たちは 〈人間〉の名に値する存在となれるか」と

 言い換えることができるかも しれません。』


テキストの「はじめに」で書かれていた、この文章の意味するところが、

最後になって、ようやく理解できた次第です‥‥。