NHKテキスト100分de名著『黒い皮膚・白い仮面~フランツ・ファノン』を読了しました。
テキストの文章は分かりやすく書かれているのに、その内容がほとんど理解できなかった理由が、
テキストの最後に書かれた、小野正嗣・早稲田大学教授の、次の文章を読んで納得できました。
『「黒い皮膚・白い仮面」が読みにくいとしたら、
それはファノンがまだ答えを見出していないからでしょう。
いや、答えはわかっている。それが実現できないことが問題なのです。
答えは明確なのです。すべての人間の尊厳と自由を実現すること。
しかしそれはファノンの時代も、現在も実現しているとは言いがたい。
どうでしょうか。どうすれば人間に真の開放がもたらされるのか。
ファノンは問い続けます。僕たちに問うように求めます。
僕たちが問うことをやめたとき、世界は後退してしまいます。
だから、ファノンは「黒い皮膚・白い仮面」の最後で次のように叫ばずにはいられません。
それは僕たち自身の祈りでもあります。
私の最後の祈り、
おお、私の身体よ、いつまでも私を、問い続ける人間たらしめよ!』
う~む、なるほど‥‥。「答えは明確だけれど実現できていない」ですか‥‥。
『この世界に人種差別が存在する以上、そして人種差別は決して他人事 ではない以上、
僕たちは「どうすれば人種差別をなくすことができる か?」と絶えず問わなければなりません。
それは「どうすれば僕たちは 〈人間〉の名に値する存在となれるか」と
言い換えることができるかも しれません。』
テキストの「はじめに」で書かれていた、この文章の意味するところが、
最後になって、ようやく理解できた次第です‥‥。

フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 (NHK100分de名著)
- 作者:小野 正嗣
- 発売日: 2021/01/25
- メディア: ムック