しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

志を高く持つ

ルワンダ中央銀行総裁日記』(服部正也著:中公新書)を読了しました。

『ぼくはこんな本を読んできた』(文藝春秋)を読み返していて、立花隆さんが、

次のように書かれていたことを改めて発見したのが、購読のきっかけです。


『‥‥この場合、文庫、新書などの置かれている書棚を丹念にのぞくと、収穫が多い。

 経済に関するものでは、「ルワンダ中央銀行総裁日記」(中公新書)などがそれにあたる。

 国家財政金融の構造と機能について、教科書だけ読んだのではどうしてもわからなかったことが、

 こういう本を読むと、パッとわかるということがよくあるものだ。‥‥』


印象に残る記述が多かった本書ですが、次のような記述は、やはり胸を打たれました。


『日本に帰ってからよく、働き甲斐のある仕事だったでしょうといわれる。

 たしかにそうだったが、私として一番よかったのは、毎日なにかを学び、学んだことを実施に移す生活、

 反射的な行動は許されず、たれも相談する相手もなく、一人だけで考え、

 行動する生活だったような気がする。』


『私は赴任の際あちこちで、子供はつれていくのか、教育はどうするのかと聞かれた。

 私は教育に関する親の責任は、進学路線の確保等は末梢の問題で、

 成人してからの人生でどんな困難に遭遇しても、

 正面からこれにとりくんでこれにうち克つという人間的強さを、

 あらゆる機会をとらえて子供につけてやることだと考えているので、

 非常な危険でもないかぎり家内は勿論子供も同伴するつもりでいた。』


『私は戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。

 私はこの考えをルワンダにあてはめた。

 どんなに役人が非能率でも、どんなに外国人顧問が無能でも、国民に働きさえあれば必ず発展できると信じ、

 その前提でルワンダ人農民とルワンダ人商人の自発的努力を動員することを中心に経済再建計画をたてて、

 これを実行したのである。

 そうして役人、外国人顧問の質は依然として低く、財政もまだ健全というにはほど遠いにもかかわらず、

 ルワンダ大衆はこのめざましい経済発展を実現したのである。

 途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。』


「国家財政金融の構造と機能」のほかにも、

志を高く持って仕事に打ち込み、人生を歩むことの大切さを、教わったような気がします。