しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「価値観そのものを見直す」ことの難しさ

晴れ間がのぞいたと思うと、いきなり風雨が強くなるなど、今日も荒れたお天気となりました。

こんな悪天候の日にかぎって、父の通院の付き添いです。


さて、今日の愛媛新聞「現論」に、佐伯啓思・京大名誉教授が、

『コロナと新資本主義~価値観の見直し必要』というタイトルの論評を寄稿されていました。

全文の引用は長くなるので、その後半部分をこの日記に書き残しておこうと思います。


『‥‥だが真に大事な論点は、競争と分配のどちらが成長を可能とするかではない。

 今日の先進国の経済状況を見れば、競争も分配も経済成長につなげるのは難しい。

 なぜなら、今日における先進国の低成長の、ひとつの、しかも根本的な理由は、

 経済のグローバリズムにあるからだ。グローバル競争は、世界中を厳しいコスト競争におとしいれ、

 概して賃金や不動産コストの高い先進国は不利な立場に置かれた。

 そこで個々の企業は海外展開を模索したり、労働節約的イノベーションに頼ったりすることとなる。

 しかし、それは国内において勤労層の所得を低下させ、消費の拡張にはつながらない。

 結果として経済はデフレ圧力にさらされるのである。

 それにもかかわらず、グローバル化イノベーションこそが経済成長をもたらすという言説が

 いつのまにか常套句になってしまった。

 だからまた、日本経済の低迷の理由は、日本企業がグローバル化に適応しようとせず、

 イノベーションを避けているからだ、といわれてきた。しかし、そうではない。

 激しいグローバルな競争や急激なイノベーションこそが経済の低迷と格差をもたらしているのである。

 問題の焦点は、「競争による成長」か「分配による成長」か、ではない。

 従来の新自由主義を、所得再配分を取り入れたケインズ主義型の「新しい資本主義」に変えればよい、

 というものではない。

 グローバリズムイノベーションによって可能となる経済成長がそのまま社会の進歩である、

 という今日われわれを支配している価値観そのものを見直すことが必要になる。

 この価値観が変わらなければ、コロナによって世界は変化したとはいえないであろう。』


う~む、なるほど‥‥。勉強になります。

ただ、しかし、この日記で何回も書いているように、グローバリズムイノベーションはともかくとして、

私は「経済成長がそのまま社会の進歩である」という価値観で、

生まれてから高校生までの高度経済成長期を生きてきました。

ですから、佐伯先生の指摘される「価値観の見直し」は、とっても難しいものがあります。

私のような価値観の人間ばっかりだと、世界は変化しないのかもしれません‥‥。