雨が朝から降り続きました‥‥。ソフトボールの全国大会も、どうやら延期になったようです。
さて、今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、次のような内容でした。その全文を引用させていただきます。
『国の優れたリーダーであり文化人でもあった20世紀の為政者というと、
知名度はやや下がるものの、東欧チェコスロバキアにも哲学者マサリクが、
そしてもう一人、無血のビロード革命を率いた劇作家がいた。
名前はハベル。とりわけ今日、その思想を振り返りたくなる。
自由を目指した改革「プラハの春」がソ連の戦車によってつぶされたのを機に、反体制運動に身を投じる。
作品は発禁処分となり何年も投獄されるが、1989年にベルリンの壁が崩壊すると大統領に就任。
名著「力なき者たちの力」は東西冷戦下で執筆され、抵抗の書として世界中で読み継がれている。
本の題名が示す通り、力ある者から「無力だ」と思い込まされた人々が持つ力を彼は信じていた。
86年にオランダの財団から賞を受けた際の演説原稿に、こう記されている。
「できやしない、というのは真実ではありません」
「自分がいかに無意味で無力であったとしても、世界を変えることができるのだと理解する可能性を、
我々誰もが秘めているのです」(阿部賢一訳)。絶望下、演劇人らしい言葉で自らと人々を励ました。
21世紀にも国は違えど自国の民を救おうと、必死に言葉を発する若き大統領がいる。
ラフなTシャツ姿で胸を張って。』
このコラムを読んで、チェコ文学者の阿部賢一・東京大学准教授が、
NHKテレビテキスト、100分de名著「ヴァーツラフ・ハヴェル~力なき者たちの力」を
執筆されていたことを思い出しました。
コラムで紹介されている「エラスムス賞受賞記念演説」の
「自分がいかに無意味で無力であったとしても、世界を変えることができるのだと理解する可能性を、
我々誰もが秘めているのです」の後には、次のような文章が続いています。
『この指示の謎めいている点は、私たちの誰であろうと、
この地球を動かすことができるという考えを信じることができない点にあります。
つまり、私、あなた、あの人、私たち全員がこの道を進むと決断しないかぎり、
自分たちが住んでいる、ともに作り上げている、そして責任を担っている世界を動かすこともできないと。
動き出すのは、まず個々人それぞれにおいてなのです。
誰かを待っていても、誰もやってこないでしょう。できやしない、というのは真実ではありません。
自分の性格、出目、教育の程度、自意識という点で問題があろうとも、
自分にある力は、もっとも無力な人たちでさえ、持っている唯一のものであり、
同時に、他の誰かが奪うことのできない唯一のものなのです。』
う~む‥‥。やはり、言葉には「力」があります。