町立図書館で借りてきた『無趣味のすすめ』(村上龍著:幻冬舎)を読了しました。
2009年4月第三刷発行の古い本でしたが、書かれている内容は今でも十分に通用すると思います。
そして、この本は、龍さんのエッセイというよりも、「箴言集」に近いと感じました。
例えば、仕事に関するものとしては、次のような記述が印象に残りました。
『リーダーになるのは「どういう対応策をとるか」わかっている人だ。
数人の旅行グループから企業組織、そして国家まで、リーダーは現実に対応し適応するために
「組織として何を目指すのか」「そのために何をやるのか」ということを決定し、
実現できなかったら責任をとるという役割を持っている。
人望があるとか、剛胆であるとか、忍耐強いとか、リーダーとしての資質が話題になることが多い。
だが、わたしはリーダーの「資質」などどうでもいいと思う。
どんなに優れた資質があっても、「何をすればいいのかわからない」リーダーは組織を危うくする。
リーダーは、「どこに問題があるのか」「何をすればいいのか」わかっている人でなければならない。
(リーダーの役割)』
『仕事における文章は、物語性がない分、さらに正確で簡潔であることが要求される。
当然のことだが、コツや秘訣はない。ダメな文章を書く人は、文章が下手なのではなく、
そもそも自分が何を伝えようとしているのか自分で理解できていない場合が多い。
まず、どういったことを相手に伝えなければならないのかを把握しなければ、作業の前提が成立しない。
うまい文章、華麗な文章、品のある文章、そんなものはない。
正確で簡潔な文章という理想があるだけである。(ビジネスにおける文章)』
『仕事上のほとんどの失敗は「単なるミス」で、準備不足と無能が露になり、信頼が崩れ叱責されるだけだ。
得るものはなにもない。何かを得ることができるのは、挑戦する価値があることに全力で取り組んだが
知識や経験や情報が不足して失敗した、という場合だけだ。
そもそもたいていの人は、挑戦する価値のある機会に遭遇できない。
何に挑戦すればいいのかもわからない。挑戦する何かに出会うのも簡単ではない。
そこから何かを得ることができる失敗をするためには、挑戦する何かと出会うことが前提となる。
条件は「飢え」だ。出会うことに飢えていなければ、おそらくそれが運命の出会いだと気づかないまま、
すれ違って終わってしまうだろう。(失敗から得るもの)』
はぃ、この本は現役時代に読んでおくべきでした。
ただ、仕事をリタイアしたからこそ、書かれている内容が理解できるところもあります‥‥。