遅ればせながら、『歴史とは何か』(E・H・カー著:岩波新書)を読了しました。
あまりにも有名な「歴史とは歴史家と事実の間の相互作用の不断の過程であり、
現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのである。」という名言のほかにも、
本書には、「歴史」と「歴史家」についての次のような名言がありました。
・世論を動かす最も効果的な方法は、都合のよい事実を選択し配列することにある。事実はみずから語る。
・歴史家の主たる仕事は記録することではなく、評価することである。
・歴史家は個人であると同時に歴史および社会の産物である。
・歴史家というのは、「なぜ」と問い続けるもので、解答を得る見込みがある限り、彼は休むことができない。
・歴史的事件の絶頂でなく、その谷底を進んで行く集団や国民にあっては、
歴史におけるチャンスや偶然を強調する理論が優勢になる。
・「なぜ」という問題とは別に、歴史家はまた「どこへ」という問題を提出するものである。
・歴史とは、人間がその理性を働かせて、環境を理解しようとし、
環境に働きかけようとした長い間の奮闘のことなのである。
このほか、著名な哲学者たちの、次のような名言も引用されていました。
・ある時代の偉人というのは、彼の時代の意志を表現し、時代の意志をその時代に向かって告げ、
これを実行することの出来る人間である。彼の行為は彼の時代の精髄であり本質である。(ヘーゲル)
・合理的なものは現実的であり、現実的なものは合理的である。(ヘーゲル)
・歴史はあらゆる女神の中でも恐らく最も残忍な女神であろう。
戦争と限らず「平和」な経済的発展においても、
この女神は死骸の山を越えて勝利の戦車を引いて行く。(エンゲルス)
・哲学者たちはただ世界をいろいろと解釈して来たが、
大切なのは世界を変えることである。(フォイエルバッハ)
私のおぼろげな記憶では、本書の原典が大学時代の英語授業のテキストだったと思います。
清水幾太郎先生が訳された本書も、とても難解な記述がありました。
その難解な記述を理解するうえで、上述の名言の数々がとても参考になりました‥‥。