今日は、午後から冷たい雨になりました。洗濯物がすっきりと乾かない日が続きます。
さて、『カール・マルクス~「資本主義」と闘った社会思想家』 (佐々木隆治著:ちくま新書)を読了しました。
ポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO)」で
マルクス・エンゲルスのシリーズを「視聴」、ではなく「聴取」したのが購読のきっかけです。
だが、本書はたんなる「資本論」の入門書ではない。
と「はじめに」で書かれてありましたが、そのとおり、書かれている内容は多岐にわたり、難解でした。
そのなかでも、私にも比較的容易で、印象に残ったいくつかの記述は、次のようなものでした。
『‥‥では、なぜ商品や貨幣、資本といった史的所有物が生み出されるのか。
マスクスはその根本原理を「疎外された労働」に見いだした。
つまり、労働のあり方が疎外されたものになってしまっているから、
私的所有物という人間たちから疎遠な力をもつものが生まれてしまうというのである。』
『哲学者たちはただ世界をさまざまに解釈してきただけである。
肝心なのはそれを変革することである。』
『資本主義とそれ以外の社会システムとの最大の違いは、
商品生産が全面化しているかどうかという点にある。』
『私たちが生きる資本主義社会においては、
人々の生活や自然現象といった具体的なものはすべて抽象的な価値の運動によって編成され、
振り回され、しばしば破壊されるのである。
このような物象化こそが、資本主義社会を他の社会から区別する特徴なのだ。』
う~む‥‥。やつぱり挙げればキリがありません。
なお、さきほどの「はじめに」で著者は、
『過去を振り返るのではなく、未来に目を向けるのであれば、私たちが問い直さなければならないのは、
失敗に終わった「マルクス主義」ではなく、マルクスその人の実像であろう。
本書で取り扱おうとするのも、「マルクス主義」ではなく、まさにカール・マルクスその人の理論であり、
その社会変革上の意義にほかならない。』と述べられていました。
「市場原理主義的な諸施策の帰結を考える」とき、
「カール・マルクスの理論が現代社会の変革にとって最強の理論的武器であり続けているという事実」は、
どうやら間違いのない「事実」のようです。