八幡浜に勤務していた平成6年に、
職場の親睦旅行で、宮崎の「シーガイア」に行ったことがあります。
巨大な施設の中に入って、
あまりにも見事な人工の波と人工の砂浜に、唖然とした記憶があります。
今日の日経新聞「日曜に考える」の「経済史を歩く」を読んで、
その「シーガイア」が6年前に閉鎖されていることを知りました。
「シーガイア」はリゾート法適用第1号として、
官民資金420億円が投じられて誕生しましたが、
今はバブル崩壊の傷跡として、新たな活用策が見つからないまま残っているようです。
どうやら「前川リポート」は、その元凶として名指しされることも多いそうです。
45回目となる「経済史を歩く」の記事の冒頭は、次の文章で始まります。
『1980年代の日本は米国との貿易摩擦解消に頭を悩ませた。
86年に世に出た前川リポートは、
経済を輸出依存から内需主導に変えることで摩擦の主因だった経常収支の黒字を削減、
同時に国民生活の質を高めるとの絵を描いた。』
記事によると、元最近亡くなった元慶大教授の加藤寛さんは、
そもそも「前川リポート」は、
「構造改革が報告書の本質」なのに、
積極財政による内需拡大論と政治家や役人に都合良く解釈されてしまったと、
生前悔しがっていたそうです。
さらに、記事によると、
『当時の日本に近いのは中国。
経常収支の黒字が膨らむ中で、輸出より消費中心の内需主導経済への転換をめざす。
実際は公共事業依存になりがちな点も日本と似る。』
「成熟した債権国」の入口に立った日本は、2年連続で貿易収支が赤字になりました。
けれども、「前川リポート」の
「改革を通して内需を伸ばし、国民生活を良くする」という理念は、
今も輝きを失っていないと、記事は指摘しています。
『一時的な経済浮揚に慢心して、
必要な改革を先送りするなら人々の暮らしは決して良くならない。
前川リポート後の歴史はそんな教訓を残している。』
記事の最後に書かれているこの文章を読むと、
昔も今も、日本という国が、「改革を先送りする国」ではないかと思いたくなります。
「今起きている出来事には出発点がある。」
文字どおり、「日曜に考えされてくれた」記事でした。