昨日のこの日記では、
冨山和彦さんの「G」と「L」に関する著書の紹介をしましたが、
この「G」と「L」の間に、「N」の世界があるとは知りませんでした。
今日の日経新聞「オピニオン」欄で、芹川洋一・論説委員長が、
『ナショナリズムの超克〜中・韓修復は根っこから』と題する論評の中で、
次のように述べられていました。
『グローバリズムとナショナリズムがぶつかり合い、
世界のそこここで火花を散らしている。
その一方で、国家も宗教や民族などローカルな内なる勢力からの突きあげを食っている。
図式化していえばグローバリズム(G)、ナショナリズム(N)、
ローカリズム(L)の「LNG」で、
間にはさまれたNがLGとせめぎ合いをくり広げているようにみえる。
NはLGだけでなく、横のNともぶつかる。
日中、日韓の問題の本質はここにあるのではないだろうか。』
さらに、論評で紹介されていた坂野潤治・東大名誉教授の次のようなお話も
歴史好きな人間にとっては、とても興味深いものでした。
・幕末から戦前にかけてのナショナリズムには、
大和魂で欧米に向き合った「日本主義」と、
中韓の一部勢力と連携しながら欧米に対抗しようとした「アジア主義」の2つがあった。
・日本主義は吉田松陰、陸羯南から西田幾多郎の教えを受けた京都学派までいく流れだ。
アジア主義は「脱亜論」以前の福沢諭吉であり、
東亜同文会をつくった近衛篤麿、
そして五族協和・東亜新秩序をとなえた石原莞爾の系譜だ。
・嫌中嫌韓の現状は、日本主義の流れだけで
アジア主義なきナショナリズムになっているのではないか。
「G」と「L」と「N」、そして「日本主義」と「アジア主義」……。
現在の「屈折ナショナリズム」を理解するためには、
歴史に学ぶことが必要であることを、改めて認識した次第です。