しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

6歳と8か月の孫娘

急性前立腺炎の回復途上で体調が万全ではない状態でしたが、

なんとかこの一週間を乗り切ることができ、安堵した気持ちでこの日記を書いています。


さて、孫娘は、先月25日で6歳と8か月になりました。

これまで元気で育ってくれたことに感謝したいと思います。

その孫娘も、今年4月にはいよいよ小学校に入学することになり、

昨日1日は、娘と孫娘で小学校主催の

「入学説明会」と「学用品販売会」に出席してきたとのことでした。


また、昨日は娘から妻に、真新しい制服を着て黄色の帽子を被り、

『♬ いちねんせいになったら いちねんせいになったら ともだちひゃくにんできるかな』

を歌いながら嬉しそうに踊っている、孫娘の動画が送られてきました。

私は未だにガラケーなので、妻のスマホでその動画を見せてもらいました。


新調の制服を着た孫娘の動画を見ていて、

自分が小学校に入学した時のことを思い出そうとしましたが、

入学式の様子をはじめ、どんな先生だったのか、ほとんど記憶にありません。

ただ、いろいろな文房具が入った「お道具箱」みたいなものに初めて接し、

とてもうれしかったことは今でもおぼろげな記憶として残っています。


その時のうれしさがよほど身体に染み込んだのかどうか分かりませんが、

この歳になっても、私は文房具というものが大好きです。

孫娘の話題が、いつの間にか文房具の話題になってしまいました。(苦笑)

曖昧な私の「核」

日本では、過去最高となる約127万人の外国人が至るところで働いているそうです。

習慣や文化の違いを超え、ともに手を携えることで人口減に悩む日本の成長と活力が高まる、

そんな共生が進むための方策を、現場をよく知る関係者や専門家にインタビューした記事が、

今日1日の日経新聞に、『成長もたらす共生へ』というタイトルで掲載されていました。

その5人の専門家のうち、小熊英二・慶応大学教授の『曖昧な日本の「核」、対応妨げ』

というコメントが勉強になりましたので、その全文を次のとおりこの日記に書き残しておきます。


『日本人とは何か。何をすれば「日本人になれる」のか。

 何を失ったら「日本は日本でなくなる」のか。

 そのような、近代国家の核についての議論を日本はしてこなかった。

 例えば米国なら、自由と平等の理念に忠誠を誓えば「米国人」になれる。

 そういう国は、外国人の統合基準もはっきりしている。日本はそこが不明確なのだ。

 国名にも表れている。多くの国は「共和国」か「王国」だが「日本国」。

 王を核とした立憲君主国なのか理念を核とした(君主のいない)共和国なのかはっきりしない。

 個々の政治家には主張があるだろうが、国民的合意はない。

 核がはっきりしないから改革も進みにくい。

 核が明確なら、それ以外のものは変えていいという優先順位がつくからだ。

 外国人政策も何を優先するか決めるべきだ。

 あくまで文化的な統一を優先するのか、発展のためならそこは譲るのか。

 あるいは、大企業の高度人材が欲しいのか、過疎地域の働き手が欲しいのか。

 曖昧なまま「移民は是か非か」といった象徴的議論をしても不毛だ。

 外国人政策を担う移民庁の設置など具体的な対応を早くしないと、優秀な人は来なくなる。

 それでも文化的統一を守ると決めるなら話は別だが、現状は中途半端。

 しわ寄せが外国人技能実習生などに来ているのは憂慮すべきだ。』


う~む、まいったな‥‥‥。

『日本人とは何か。何をすれば「日本人になれる」のか。

何を失ったら「日本は日本でなくなる」のか。』の問い掛けは、

『私とは何か。何をすれば「私になれる」のか。

 何を失ったら「私は私でなくなる」のか。』と問われているようで、ドキリとしました。

外国人政策という国家の問題に限ったことではなく、

私個人としても、自らの「核」や「芯」がはっきりしないから、何をやるにも中途半端で、

ちょっとのことでフラフラするのかもしれません。

からだの芯へ収める

早いもので今日で1月も終わりです。

昨日30日は、七十二候の「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」で、

鶏が鳥屋に入って卵を産み始める頃。本来、鶏は冬は産卵せず、春が近づくと卵を産むそうです。

そして、次の二十四節気は「立春」、七十二候は「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」で、

春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。身を切るような寒さももうしばらくの辛抱ですね。


さて、今日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、作家・いしいしんじさんの

『生きているそのあいだ、なるたけ多くの「終わり」に触れておく。

 そのことが、人間の生を、いっそう引きしめ、切実に整える‥‥』という言葉で、

いつものように、鷲田清一さんの次のような解説がありました。


『人は自分という存在の始点も終点も知らないし、知りえもしない。

 自分がどこから来てどこへ行くのか。いずれも霧の中だ。

 でも、人の生が「終わり」を孕(はら)んでいるのは確か。

 だとすれば、旅にせよ、茶事にせよ、小さな「終わり」をくり返し

 「からだの芯へ収める」ことで、中途としての人生にも光が射(さ)す。

 作家の『且坐(しゃざ)喫茶』から。』


う~む、なるほど‥‥。「からだの芯へ収める」ですか‥。すごく迫力がある言葉です。

芯に収めないと、何事も真に自分のものにはならないのでしょうね、きっと‥‥。

また一つ、新しい言葉の表現方法を勉強させてもらいました。

「ざぶとん一枚」の心境

今日30日の朝日新聞デジタル版「波聞風問」(はもんふうもん)に掲載された

原真人・編集委員執筆による『デフレ脱却 宣言しない本当の理由は』

という記事が面白かったです。記事には次のようなことが書かれていました。


安倍晋三首相は「物価が持続的に下落するという意味のデフレではなくなった」と言う。

 なのにデフレ脱却宣言まで踏み込まないのはなぜか。

 政府・日銀が掲げる2%インフレ目標が未達成だから、というのが公式見解だ。

 ただその理屈は苦しい。なにしろ政府も日銀も「景気は拡大中」と言っているのだ。

 宣言できない本当の理由は異次元緩和を終わらせられないからではないか。

 日銀は異次元緩和の一環で国債と株式ファンドを大量に買い続けている。

 いまや苦しい政府の借金財政を支えるのも、株価の高騰を下支えしているのも日銀だ。

 日銀がこれらの政策をやめたら、あるいは購入量を減らしただけでも

 まちがいなく国債価格と株価は急落する。

 避けるには政策継続しかない、というのが政権の本音だろう。

 ただ国債や株を永遠に買い支え続けることはできない。

 政策の「正常化」を先送りすればするほど反動は大きくなるから修正は早いほどいい。

 だが高株価とゼロ金利の微温景気にどっぷり浸った安倍政権にその気はなさそうだ。

 日銀自身もいまや引くに引けなくなった。みずから引いてショックを起こせば戦犯とみなされる。

 ならば動かぬが得、と決め込んでいる風だ。

 平均株価は26年ぶりの高値を記録。世の中にはバブルの空気さえ漂う。

 日本経済の実態はしかし、異常なマクロ政策の砂上に立つ楼閣である。』


10年ぶりに改訂された広辞苑で「デフレーション」という言葉をひくと、

デフレーション=(通貨収縮の意)物価が持続的に下落すること。

 企業の倒産、失業者の増大など不況や社会不安を伴うことが多い‥‥。』で、

これは旧版と一言一句同じだそうです。


原真人・編集委員は、さきほどの政府・日銀のマクロ政策や日本経済の現状を踏まえ、

広辞苑には次のような語義も加えてほしかったと述べられていました。

『デフレ=物価が2%以上の上昇をしない状態。景気の良しあしはどっちでもいい。

 異常な金融政策を続ける理屈としてもっともらしい言葉。』


う~む、なるほど‥‥‥。

言われてみればそのような気がして、「笑点」の司会者ではありませんが、

「お~ぃ、ざぶとん一枚持ってきておくれ!」の心境になりました。

心がぽかぽかに温まる詩

週明けの今日も寒い一日となりました。

坂の上の雲」の秋山真之ではありませんが、「あまりの寒さに〇〇〇ちぢまる」です。

一体いつまでこの寒さは続くのでしょうね‥‥。


さて、朝日新聞デジタル版によると、

東京では詩人・谷川俊太郎さんの展覧会が開催されているみたいですね。

その東京には美術館や博物館がたくさんあるほか、

今回のような展覧会も一年を通じてどこかで開催されているようで、

すぐれた作品に出合える機会が多くていいですよね。地方住まいの私には羨ましい限りです。

もっとも、東京の人混みがちょっと苦手で、大学卒業後は故郷に帰ってきた私ですが‥‥。


ところで、さきほどの記事では、

谷川さんの「自己紹介」や「さよなら」という詩が紹介されていましたが、

私が持っている『自選 谷川俊太郎詩集』(岩波文庫)のなかでは、

「あなたはそこに」という詩が大好きです。


『あなたはそこにいた 退屈そうに 右手に煙草 左手に白ワインのグラス

 部屋には三百人もの人がいたというのに 地球には五十億もの人がいるというのに

 そこにあなたがいた ただひとり その日その瞬間 私の目の前に

      ~(中略)~

 ほんとうに出会った者に別れはこない あなたはまだそこにいる

 目をみはり私をみつめ くり返し私に語りかける

 あなたとの思い出が私を生かす 早すぎたあなたの死すら私をいかす

 初めてあなたを見た日からこんなに時が過ぎた今も』


外は寒いけれど、大好きな詩に触れると、心はぽかぽかに温まります。

自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)

自選 谷川俊太郎詩集 (岩波文庫)