「一身独立して一国独立する」
「私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、
それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、
私たちの未来は開けません。」
2月28日(木)、安倍総理は施政方針演説の冒頭で、
福沢諭吉の「学問のすゝめ」の言葉を引用し、国民に「自立」を呼び掛けました。
3月1日(金)の主要新聞の社説を、Webで読み比べてみましたが、
読売新聞や産経新聞などは、おおむね好意的な書きぶりでした。たとえば、次のように。
『「自立」をキーワードに「強い日本」を目指す、
という基本姿勢は、前向きに評価したい。』(読売新聞)
『戦後日本が忘れがちで、逆境をはね返すために今最も必要な
「自立」を明確にしたことを評価したい。』(産経新聞)
自助・自立の高い志を持って、
国を頼らず、逆に、たとえ微々たる力でも、国を支えることができたなら、
この世に生まれてきた甲斐があったと思います。
ただ、世の中には、
なんとか国を支えたいと思っても、それができない人も大勢います。
毎日新聞や東京新聞の社説は、
そうした「社会的弱者」に配慮する視点の大切さを述べています。
『頑張りたくても頑張れない人は、
首相が演説で挙げた「病気や加齢」の人だけではない。
社会構造は大きく変わり、
若い世代も含め急激に拡大しているという認識が乏しいのが気になる。』(毎日新聞)
『自立心を持つことも、支え合って生きていくことも大事なことである。
それ自体に異存はない。
ただ危惧するのは自立を強調するあまり、
自立できない人が置き去りにされてしまうことだ。
苦楽を共にできない人が支え合いの輪の外に置かれてしまうことだ。』(東京新聞)
確かにそうですね。
「人はいつ涙を流すのか?いつ政治の力を必要とするのか?」
このような問いかけを、政治家の先生方はいつも忘れないでいてほしいものです。
ところで、福沢諭吉の「学問のすゝめ」や「福翁自伝」は、
私も、時々本棚から取り出して読み返すことがありますが、
これからの日本を担う若い人には、是非読んでいただきたい本です。

- 作者: 福沢諭吉,富田正文
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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