しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「ミクロの世界」に配慮を

先般、産経新聞「正論」に掲載され、この日記でも紹介した
「かんべえ」さんの『アベノミクス、3つの成功と課題』という論評の中に、
次のような一節がありました。

『〜(中略)〜 しかしそれ以上に重要なのは、働く人の実数が増えていることだ。
 わが国の雇用者数はこの夏には5570万人と史上最高を更新している。
 そのうち約3分の1が非正規であるとはいえ、
 人口が減少する中にあって雇用者の総数が増えているのは、
 健全な方向であることは間違いあるまい。』

最初は、なんとなく読み過ごしていた一節でしたが、
後なって、なんとなく心に引っ掛かるものがあることに気づきました。
それは、「人口が減少する中にあって雇用者の総数が増えているのは、
健全な方向であることは間違いあるまい。」の「健全な方向」という記述です。

最近、職員の個別面談において、仕事や家庭の状況をヒアリングしたところ、
子育て中の職員から、次のような話を聞きました。

『今年の7月から給与が大幅にカットされて、家計のやり繰りが大変なんです。
 住宅ローンを抱えているので、家計の少しでも足しになるように、
 専業主婦の妻がパートで働くようになりました。
 ただ、 幼稚園に通っている子供がいるので、
 働くのは午前10時頃から午後2時頃までの短時間しか勤務できません。
 フルタイムで働くことは、保育園の確保など、条件的に難しいものがあります。』

ご案内のとおり、私が所属する自治体をはじめ、全国の自治体は、
国の一方的な地方交付税の削減により、職員の給与カットを余儀なくされました。
子育て真っ盛りの職員にとっては、かなりの打撃であったことは間違いなく、
給与カットの結果が、奥さんのパート勤務につながったということであれば、
マクロの世界で雇用者数の記録更新につながったとしても、
なんだかやりきれない気持ちになります。
果たしてこれが「健全な方向」なのでしょうか…?

現政権の経済政策「アベノミクス」が登場して、一年が経過しました。
この間、景気はほぼ順調な回復基調にあり、
それをけん引しているのが個人消費だといわれていますが、
家計のマインドが改善したのは、資産効果のある富裕層に限られているのではないかと、
節約生活にじっと耐え忍んでいる私は、ひがみ根性が丸出しになってしまいます。

なんだか今日は、不平不満のはけ口のような日記になってしまい、反省しています。
政治家の先生やエコノミクスの方は、
庶民生活という「ミクロの世界」にも、温かい眼差しをお願いしたいものです。